2016年06月25日

再び一条の i-smartⅡに対する地場ビルダーの対抗策を考える?



今朝の新聞やテレビは、「イギリスのEUからの離脱」 問題で、テンヤワンヤ。
当然、住宅業界にも深刻な影響が出てくると考える。
しかし、この問題は後ほど取上げることにして、今週は前週に続いて一条工務店の i-smart Ⅱ を取上げたい。
前回触れたように、「一条工務店がi-smartのシリーズもので、i-smartⅡで、Q値がなんと0.51W/㎡・kという商品を開発し、販売を開始したという強烈パンチ。 これに対抗するには、地場ビルダーはどうあらねばならないか」 という大課題。

一条工務店という全国組織が、ツーバイフォーを使って0.7W/㎡・k以上というか、以下と言うかは分らないが、数値を堂々と発表することは、消費者にとって素晴らしいことだと考えて、私は大賛成派。 これによって、日本のQ値はヨーロッパ並みか、あるいは緯度を考えるとヨーロッパ以上と言えるようになった。 
ドイツの 「パッシブ・ハウス並の住宅が、緯度が低い日本でもドイツ並の価格で入手出来る」 と言うことだから、パッシブ・ハウス・ジャパンの森みわさんなどはビックリして、あわてて対策を考えているだろうと推測。

しかし、問題は2つある。
1つは、一条工務店の言う通りに、Q値が0.51W/㎡・kと言う高い性能値が、本当に必要か、という点。
もう1つは、価格が一体どれくらいかと言う点。
残念ながら一条工務店は、Q値が0.51W/㎡・kとなった計算例の詳細を示してくれていない。

以前の一条工務店のQ値の根拠は、50坪 (約165㎡) だった。 田舎だと50坪の住宅もあろうが、東京など大都市では35坪が精一杯。 私は40坪 (約132㎡) を基本に計算しているが、一条工務店が今回計算した住宅の大きさは 「45坪 (約150㎡) の東京の住宅」 と書いてある。
しかし、私が40坪 (約132㎡強) の住宅で計算したところでは、換気を別にして床・外壁・天井だけで何とQ値が0.52W/㎡・kになってしまった。
もちろん、一条工務店が指摘するように、外壁には140ミリの硬質ウレタンを充填し、その外側には50ミリの熱伝導率0.02W/㎡・kの硬質ウレタンの外断熱を用いた。
天井面は235ミリの硬質ウレタンを使用と言うので、210の天井根太に充填した。
困ったのは床と玄関の土間床。 当然206での硬質ウレタンでの充填断熱を考えるところだが、前の i-smart では、在来のプレハブの床をそのまま採用していた。 今回も、床に関しては在来の床パネル (3尺×3尺) を使っているのではないかと勘繰ってしまった。
そして、サッシやドアは、トリプルでLow-Eの、U値が0.8W/㎡・kを採用。 そしたら40坪の住宅で、換気抜きで0.52W/㎡・kとなってしまった。

一条工務店が表示している0.51Wという数値には、当然のことながらご自慢のロスガードという冬季熱回収率90%、夏季の湿度交換効率80%という熱交換も含まれていると思う。
ということは、私の計算と一条工務店の最大のQ値差は、150㎡と132㎡の差にあるのではないかということになる。
もしそうだとしたら、私は一条工務店が発表した0.51W/㎡・kというQ値は、素直に認めるべきだと考える。
しかし、私は一条工務店の全熱交に関しては、かなり疑り深い。

というのは、私が換気に関して指導を受けたのは、カナダやヨーロッパの諸先輩。
各国とも共通していたのは、「排気はトイレ、浴室、台所など空気が汚れているダーディゾーンから行わねばならない」 ということ。 したがって、「必ず臭いや細菌が移らない顕熱交を使用しなければならない」 というものであった。
ところが日本では、住宅の換気は殆ど行われておらず、もっぱら換気はビルなどで行われていたのみ。 このため、ナショナルとか三菱電機などが製作していた熱交換気機は、もっぱら全熱交のみという有様。
ただ、熱交で出遅れたダイキンだけが、カナダやヨーロッパの意向を取上げて作ってくれたが、量が出ないために、途中で製造中止に。
一条工務店は、最初はダイキンの全熱交を委託生産させて、「ロスガード90」 と言う名で使っていた。 私は一条工務店の了解を得て、このロスガード90を、セントラル空調機用に採用した。
というのは、日本ではカナダやヨーロッパの言うように、顕熱交を生産してくれるところがない。 このため、輸入品を使うしかなかったので小回りが利かない。 全熱交だと分かってはいたが、セントラルシステムに採用。
幸い臭いの移転などの問題が起らず済んだし、そのうち全熱交でありながら臭いや細菌が移転しない商品の開発も進められてきた。
しかし、浴室の排気に使うことには、ダイキンの担当者から厳しく制限されていた。
私の知っている初期のロスガード90を採用した一条工務店の住宅では、トイレ、浴室、台所などのダーディゾーンの空気は、そのまま外へ捨ていた。 したがって、初期のロスガード90を使っていた住宅では、熱回収率90%というのは、全くの嘘っぱち。 せいぜいよくても50~60%というところだったという意識が浸みこんでいる。

これは15年以上も前のことだから、現在では解決済みだと思う。
しかし、日本の空調・換気関係者からは、未だに納得できる説明を頂いていない。
一条工務店は、i-smartⅡ に採用しているロスガード90の、夏季の湿度回収率は80%と明示している。 その言葉を信じるには、もう少しデーターを公開して、納得できる説明が欲しい。
80%の除湿が可能ということは、デシカ機能が備わってきているということ。 だとしたら冬季の加湿機能ももっと謳うべき。
私は、Q値が0.7W/㎡・kの住宅には、床暖房が不要だと考えている。 
如何に一条工務店が床暖房が安いといっても、廊下や浴室、トイレを含めて設置する費用はバカにならない。 Q値が0.7W/㎡・kの住宅だと、3.0KW以下の空調機1台で、全ての住宅の冷房だけでなく、暖房も賄える筈。
余分な投資を強いられている気がしてならない。

最後に問題になるのは価格。
私のささやかな経験から言っても、一条工務店のトリプルサッシは、かなりリーズナブルだという印象が強い。
0.51W/㎡・kというQ値はどうでもよい。 何度も書くので気が引けるが、東京以西ではQ値は0.7W/㎡・kで十分。
硬質ウレタンになったことにより、価格が高くなったのでは意味がない。
ところが、一条工務店の i-smart Ⅱ のどの資料にも価格が提示されていない。

どなたか、いち早く i-smart Ⅱ の、活きた価格を教えてくれる人が出現することを、心から願っています。




posted by uno2016 at 14:57| Comment(1) | 技術・商品情報 | 更新情報をチェックする
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