2016年09月30日

三井ホームの60回の実験より、29回の206の耐震実験がポイント!



三井ホームの事情について、私はあまりにも「さとし」さんの情報に頼り過ぎていたことに 気がついた。
そこで、三井ホームのウェブサイトを開いて、今回の実験の情報を探って見ることにした。

Http://www.mitsuihome.co.jp/lp/jikken/

この欄を開くと、三井ホームは国立開発法人・土木研究所と一緒に今年の6月2、3日に3階建の206の住宅で、最大加速度4176ガルの実験を29回も行っていたのですね‥‥。
三井ホームは、「寒冷地の北海道を除いて、内地は 206材にロックウォール系の140ミリの断熱材を充填させるだけで十分だ」 と考えていたのだと思う‥‥。
たしかに、北海道では 206だけでは心細い。 どうしても100ミリ程度の外断熱が 欲しくなってくる。 しかし、それをやると、途端にどの現場を見ても耐震性が落ちてしまう。
最近、内地で105センチの在来木軸の外側に100ミリ程度のロックウールを 外断熱として施工する例が増えてきているが、私はあまり感心していない。
やはり、206材の充填断熱材を応援したくなってくる。

そして、他社の大手メーカーが震度7の実験を2回行い、大々的に全面広告したのに 脅威を感じた三井ホームは、今年の7月11、12、13日と、3日間にわたり急遽壁倍率10倍 (これはどこまでも1階建で、2階建だと壁倍率は8倍に落ちるという) という特殊な壁で、「60回の震度7にも倒壊しなかった」 と、大きな声を上げるに至ったよう。
特殊な金物などを使った壁倍率10倍の壁は、何と76坪で坪単価が63万円。 あまりの高さに、声が途切れたほど。
私は206で29回も震度7に耐えた実験の方を 高く評価したい。 三井ホームは、なぜ204の壁に拘ったのだろうか‥‥。
それにしても、北海道が世界に先駆けて開発した壁内結露を防ぐための外壁通路が無視されている点が、若干気になるところだが‥‥。
そして、上の2つの実験模様をとくと見て欲しい。
まず、基礎がベタ基礎で、非常に頑丈なことが分る。
私も何回か実物大実験を行ったか、これほど剛性を持った基礎は珍しい。
その上に乗っかっているダブル・シードと呼称している壁パネルも、屋根を構成している 両面にOSBを張り、ポリスチレンを充填したパネルも、見ていて何の不安も感じさせない。
いわゆるモノコック構造によるツーバィフォーの強さを遺憾なく発揮している。
いいですか。ヅバィフォー工法というのは、特別に太い柱や集成梁を使う必要がない。
ありふれた204や206の柱で十分。
そして、410とか412の梁材を必要としていない。 そこいらにある210材や212材で十分。
それを厚い合板やOSBでプラットフォームを構成してやれば、やたらに耐震性の強い建物に変身してくれる。

しかし、最近はやたらとタテ長の在来木造建築が注目されるようになってきている。 この傾向には、私は何1つ反対はしていない。
しかし、CRT (クロス・ラミネーテッド・ティンバー) などの動きを見ていると、5~6階建に照準を合わせるのあまり、はなはだムリをしているように感じてならない。 本当に消費者は、高いカネを出しても、木造の高層建築を求めているのだろうか?
ドイツの消費者のようにRC造で、内装には木材を使うが、外断熱として100ミリ程度のロックウール造を求めているのではなかろうか?

たしかに、私かツ―バイフォー住宅に取組んだ時には、住宅金融支援機構の若手技術者も 燃えていた。 1ヶ月も泊まり込んで、金融支援機構の枠組壁工法の標準仕様書を完成させた。
彼らの熱意に煽られて、私も1週間に亘ってアメリカの建築現場をじっと眺めた。 それは まさしく眺める毎日であった。 私は 日本の現場へも頻繁に通っている。 日本の建築現場からは学ぶことはほとんどなかった。 ところが、アメリカの現場には学ぶべきことがあまりにも多かった。
アメリカの大工さんは、日本と違って高い生産性を上げるために 7~8種の職種に分かれている。
そして、どの職種も眼の色を変えて仕事に取組んでいる。
例を上げると、枠付きドアの取付。 どの大工さんを測定しても、1ヶ所3~4分程度しか かかっていない。 それほどの生産性の高さと丁寧さが全職種に及んでいて、アメリカの現場は何1つムダがなく、全てが参考になった。
アメリカの現場へ入るということは、徹底して 「学ぶ」 ということであった。

こうして、私はアメリカの現場から学び、それを支援機構の標準仕様書に活かしたはずだった。
だが、アメリカの建築現場から徹底的に学んできたのは私ぐらい。
一条工務店や三井ホームなどはアメリカから一切学ばず、日本の在来の大工さんのしきたりや生産性が低くてクレームが多発する古いやり方を踏襲したまま‥‥。
完成した現場のみを見ていた時は、彼らの日本流のやり方の欠点が私には見えなかった。
しかし、一条工務店や三井ホームの現場での仕事振りを見た時、「よくこれでクレームが起らないものだ」 と思わず吹き出したほど‥‥。
それほど、日本のツーバイフォーや在来木軸の現場は酷い。
つまり、アメリカから生産性の高いツーバイフォー工法を 導入したはずなのに、その生産性の高さは一向に活かされず、古い大工さんのしきたりに、埋没している。

とは言っても、中小の住宅メーカーは何となく頼り甲斐がない。
そう考えている消費者が多いのではなかろうか。
限られたエリアだが、紹介したい業者はいる。
しかし、全国的な規模になってくると、私には発言権がなくなってくる。
少しでもその壁を打開したいと思っているのだが、自分も歳をとってくるので、なかなか叶わないというのが、悲しいかな現実。




posted by uno2016 at 08:32| Comment(0) | 技術・商品情報 | 更新情報をチェックする

2016年09月25日

気密性を維持するために地場ビルダーかなさねばならぬ耐震性強化!


私は古い人間で、地場ビルダーが果たさねばならない最低限の仕事は、耐震性を確保して 気密性を保障することだと考えている。

最近の住宅被害は、地球の温暖化の影響が強く現れていて、やたらに水害による被害や 大雨による河川の決壊被害が多くなってきている。
しかし、欧米のホームビルダーのように 分譲地まで手掛けている場合においては、浸水とか堤防決壊による被害に関わらざるを得ない。
だが、日本の地場ビルダーのように 分譲には一切関係がなく、もっぱら建築のみを委託される場合には、住宅の依存地に関しての責任は取りようがない。
したがって、テレビや新聞でいくら騒ぎたてようとも、気の毒だと言う気持は高まるが 何一つ手助け出来ないのが現実。

そけだけに建築業者は、建物そのものに対する責任が大きい。
ご存知のように、阪神・淡路の大震災で、神戸などの多くの住宅は細い通し柱が折れて、1階で寝ていた老人などは下敷きになって即死。
「大阪は、決して震度6以上の地震がない」 という噂話が ひろがっていたにしても、神戸などで多くの倒壊住宅が発生したのは、私は 「地元の大工さんをはじめとした建材店などの協同責任である」 と断定した。
あの大被害の全責任を、消費者に押し付けて、こと足りるとしていた 建材業界や大工組合に対して、猛烈な反発心を抱いたのは事実。

現在の建築基準法では、「震度7という烈震があっても、ともかく住宅が倒壊せず、消費者が無事に避難出来れはOK !」 という慣例が、まかり通っている。
しかし、もし貴方が 被害者であった場合のことを 考えていただきたい。 現行の基準法で満足出来るだろうか?
熊本地震では、2度目の震度7の烈震で、多くの被害者を出したと言われている。
しかし、多くの在来木造を提供していた業者が、「営業停止処分」 になったという話は聞いたことがない。 ということは、現在の建築基準法というのは、どこまでも「業者を守るためのものであって、消費者を守るためのものではない」 ということになる。
ここまで、コケにされていて、それでもあなたは 「建築基準法が正しい」 と考えて いるのだろうか?

私が、建築基準法の矛盾に気付かさせてくれたのは、中越地震の烈震地・武道窪で、唯一 倒壊を免れた主婦の発言。
「おかげさまで 私の家だけが、唯一 倒壊を免れることが出来ました。 この点に関しては、この住宅を提供してくれたメーカーには感謝しています。 だが、今までは前の坂道を登る自動車の音が、全然気にせずに生活ができました。 しかし今は外壁がガタガタになり、気密性能がまったくなくなりました。 夜だけではなく、日中もうるさくて困っています。 この気密性能はメーカーが治してくれるのでしょうか? 誰に相談したら真剣に考えてくれるのでしょうか? 気密性能の保障は、誰がどのようにやってくれるのでしょうか‥‥」
それまでは、耐震性や気密性能のことは話しても、誰1人として気密性能の保障に関しては 説明していなかった。
つまり今までの家では、気密性はプラスアルファのおまけの性能でしかなかった。
最近は、ほとんどの家が 「高気密・高断熱」 を謳い文句にしている。
しかし、「高気密・高断熱」 を謳い文句にしていながらも、誰1人としてその保障のことは語っていない。
この大きな問題の存在に、私も初めて気がついた。

私の考えでは、住宅の気密性を保障してくれるのは耐震性しかない。 耐震性を今の2倍程度にするしか秘策がないはず。
ところが、建築基準法で言うところの耐震性に関する私の知識は、古いものしかなかった。
頭の中にあったのは、9ミリの構造用合板を用い、長さ50ミリのクギを外周100ミリピッチ、中通を200ミリ間隔で打てば、壁倍率3倍の耐力壁が得られる、という程度。
これを長さ65ミリのクギにして、外周50ミリピッチ、中通を100ミリピッチで打った何社かが、特認として壁倍率5倍の認定を得ている‥‥。
そして 構造用合板12ミリを用い、65ミリのクギを外周50ミリピッチ、中通100ミリで打てば、なんとか基準法の2倍近い数値が得られるのではなかろうか。
このほかに、12.5ミリの石膏ボードを、外壁だけでなく、内壁には両面にダブルに入れ、GNF40のクギで、外周50ミリ、中通100ミリピッチで打てばプラスアルファの性能が得られるはずだ‥‥と計算した。 「この計算が正しい」 などと言うつもりはサラサラない。
要は気密性能を担保するには、特認が得られるとか得られないということは別にして、これしか方法が浮かばなかったということ。
そして、何度も強調しているように、ボード類を外周455ミリ離れたスタッドから張出し、開口部の隅部は必ずボード類をコ型にくり抜くように工夫した。 この採用で、震度7に遭遇しても 開口部周辺の亀裂を防止することが可能に。

ご案内のように、今月の9月15日のこの欄で、8月19日の日経新聞に掲載されていた三井ホームの全面広告について、私の考えを述べた。
それに対して、16日付で読者から私宛にメールが入り、「三井ホームをそんなに信用してよいのか?」 との投稿があったので、ネットフォーラム欄で紹介した。
そしたら、「さとしさん」 から9月18日になって、三井ホームの営業担当者から聞いた話として
以下の3点が強調されていた。
「①は三井ホームの単独事業ではなく、国立研究法人・土木研究所との共同研究であったこと。
②は内容は不明だが、壁倍率10倍程度の特殊な耐力壁を持った住宅を建て、破壊するまで揺らして震度7が60回にも及んだが、壊れなかった。 当日は気温が高く、油が良く滑り、5000ガルを超える想定外の揺れが現出したが破壊しなかった。 
③は普通の2×6の3階建住宅 (あるいはアパート) でも、都合29回の震度7の耐震実験を60回と同時に行っているが、被害はゼロであった」 というの。
私は過去には、三井ホームの技術担当者と懇意につき会っていた。 だが、最近は懇意なつきあいは皆無。 したがって、さとしさんからの情報を大切に考えていた。
それでいいのだと思う。 今更ながら 私のようなロートルがシャシャリ出るのがおかしい。
若いジャーナリストや評論家にお任せすべき。

さとしさんの報告の中の3点とも、三井ホームの全面広告では謳われていなかった項目。
とくに土木研との共同研究であったことや、壁倍率10倍と言う特殊な壁を用いた実験であったということは、どこにも掲載されていなかった。 そういった点で、さとしさんの報告には 心から感謝をしている。
たしかに、前後して全面広告を打った某社の内容は、「震度7の実験を2回行ったが、被害はゼロであった」 と言うものだったという記憶が‥‥。
これに対抗するために、壁倍率10倍という特殊な住宅を三井ホームは開発したのだと思う。 そんな特殊な住宅だから、震度7強であっても 被害はゼロであったという話は納得できる。 なにしろ2時間耐火で、21ミリの高性能石膏ボードを3枚も採用した実績のある三井ホーム。 もし壁倍率10倍が必要であれば、15ミリ程度の構造用合板の2枚張りなどは 軽い作業。 これに匹敵する耐力壁を考えたとしてもおかしくはない。
だがこれは、実用性の乏しい架空の物語として考えてよかろう。

問題は、多分特認を得ているはずの2×6の3階建。
これが、震度7の揺れに29回にも無傷で対応していたという事実には、ビックリさせられた。
私などが考える前に、三井ホームは実用化していたのだ。
したがって、私は 「負けました!」 と、三井ホームに対して、いさぎよく頭を下げるべきであろう。


posted by uno2016 at 10:02| Comment(0) | 技術・商品情報 | 更新情報をチェックする

2016年09月20日

岩波新書から出版された祖田氏の 「鳥獣害」 は、大きな話題に !



先週、「独善的週刊書評」 で紹介した、祖田修著の岩波新書の 「鳥獣害」 の反響の大きさに、正直なところビックリさせられた。
私も、まさか日本の農村のかなりの部分で、これほどの鳥獣害に 悩まされているとは、「寝耳に水」 状態だった。
たしかに、本著では京都だけではなく、日本全国の鳥獣被害の実情が報告されている。 それをどこまで信用して良いのか分らず、混乱状態に陥った‥‥のが現実。
私は、富山県の南部の出身。
しかし、私が医王山麓の福光や福野で育ったのは半世紀前。
そして、東京の大学へ入るという目的はあったものの、田舎から飛び出してきた1人であることは間違いない。
その頃は、鳥獣害は無視して良いほどだったと思う。
それが、半世紀たった現在の実態が、まったく分からないで困っている。

それだと、「簡単に田舎へ電話して聞けば 良いだけではないか」 と言われるが、常日頃 古い友達とは没交渉になっている。 田舎も 親兄弟も死んで、代が変わってきている。 電話が出来る相手が、簡単につかまえられない。
ということで テンヤワンヤ。
中間山間地は別にして、私の田舎までが 鳥獣の被害が蔓延しているとは 考えにくい。
というのは、確かに多くの若者が高度成長期に田舎を捨てて、都会に出てきたのは事実。 そして著者が言うように、田舎の高齢化が一気に進み、「鳥獣を追いたてる人間が少なくなっている」 ことを認めるにやぶさかではない。
だが、普通の町まで鳥獣がのさばり、収集がつかなくなっているとは信じられない。
もし、それが事実だとしたら、もっと地方紙が大きく取上げているだろうし、地方のテレビで 大きな話題になっている筈だと思うから‥‥。

しかし、潜在的な問題であったにしても、戦後の 過剰な復員軍人とか、満州などから帰国を余儀なくされた人口を、抱えさせられた中間山間地。
そこから余剰人口か減って、鳥獣が威張りだしていることは容易に想像できる。
しかし、ある時点を過ぎると、鳥獣の被害が急速に進むということは、想定内の出来ごと ではなかったか‥‥。
それが、想定以上の異常な状態にまでなってきているというのが、著者の言い分。
たしかに、著者が体感した範囲内では、想定外のことが多発している。
田舎の農家が野菜づくりを諦めて、野菜を購入する農家が 爆発的に増えているというのが、その代表例だろう。
まさか、農家が野菜を作れない事態が起ろうなどとは、考えたこともなかった。
それだけ、根が深い問題かも知れない。

最近、老後を田舎で野菜づくりなどをして、悠々自適に暮らしたいという人が 目立って増えてきている。 そして、この傾向は 何も老人に限ったことではない。
農林省の調査によると、若者による田園志向が増大してきている。
その基本にあるのは、コメづくりではなくて野菜づくり。
その肝心の野菜づくりが否定されるということになると、若者による田園志向は どこまで持続できるのだろうか‥‥。 まさか、「無」 になることはなかろうが、かなり減ることは 間違いないと断言出来る。
現に私は、セソコ マサユキ著の 「あたらしい移住のカタチ」 という著書を 独善的書評欄で取上げるつもりで準備を進めていた。 大都市から全国へ移住する10例を取上げた面白い企画。
しかし、その半分くらいが、場合によっては 「野菜づくり」 で行詰るかもしれない と分り、急遽、連載を中止した。

また、赤峰勝人著の 「食の命 人の命」 も連載を中止した。 もっともこの著作は、著者が大分県で 「無農薬、無化学肥料」 と、自然海塩の活用で、新しい農業の確立に 努力した点は買えるが、陰陽とか宇宙の法則などという自己流の訳の分らない 論理を展開し、自社農園のPRのみに力を入れている点が連載をやめた主因。
自分の存在意義をしっかり理解して、もっと学者先生などを立てて、「無農薬・無化学肥料」 と自然海塩の普及に力を入れるべき。 そうでないかぎり、折角の 「食の命 人の命」 の好著は、永遠に浮上することはなかろう。


posted by uno2016 at 08:07| Comment(0) | 技術・商品情報 | 更新情報をチェックする
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