2016年09月10日

「マグネチュード」より「震度」がポイントになる消費者と地場ビルダー (下)



前回、中越地震では確かに若干だがツーバィフォー住宅もある。 小千谷に住むある施主は、耐震性の高い工法として、次のような評価で表現をしていた。
「1は間違いなくツーバィフォー工法。 2~3がなくて、4にスーパーウォール工法!」 と。
その施主は、長岡市や小千谷に建てられていた ツーバィフォー住宅の被害状況を自分の眼で確かめて、そう断言していた。
しかし、私は長岡市や小千谷のツーバイフォー住宅は、残念ながら見ていない。
私が見たのは、どこまでも魚沼市に本社があるトピアホームが建てた 六日町から十日町にかけての震度5~6のスーパーウォールであり、川口町の震度7の烈震地で、渡部建設が手掛けたスーパーウォール工法でしかない。
しかし、震度7の川口町の繁華街では、それほどひどい被害は見当たらない。 たしかに 家の中に1歩入れば、30%程度の大きな被害を受けていた。
私を案内してくれた渡部建設の渡部社長は、県の要請で川口町をくまなく調査していた。 市内の繁華街の被害も熟知していて、案内してくれた。 そして、もっとも激しい被害を出していた 激震地‥‥倒壊率が90%前後にもおよんでいる武道窪と田麦山を案内してくれた。
武道窪は戸数が20数棟程度の小さい町。 しかし、残っていたのは、渡部建設が手掛けたスーパーウォールだけ。 田麦山では約100棟のうち1割程度しか残っていないように感じた。
その範囲で、約20棟のスーパーウォールの現場と、その近くで倒壊していた100棟近い在来木軸の住宅を見たにすぎない。

私は、神戸で多くの通し柱が折れて、瞬時に多くの被害を出したのは当然だと考えていた。 細い柱を平気で使っていた大工や建材店が責任を負わねばならない被害だと、今でも考えている。
これに対して、川口町では多雪地のために4寸から中には5寸もある太い柱を使っている。 簡単に通し柱は折れないはず‥‥。
だが、その太い通し柱が折れて全壊している現場を見て、私は声も出なかった。
その中で、在来の柱に構造用合板の外壁や 野地パネルを現場で組合わせているスーパーウォールだけが、通し柱が折れず、倒壊を免れていた。
この事実を見て、私は 「なぜツーバイフォー工法が地震に強いのか」 と言う 本当の意味を、イヤというほど悟らさせられた。
それまでは、ロス郊外の現場を見て、「1×6材によるスジカイ材による ツーバイフォー工法の普及」 に努めてもいた。 やたらに 構造用合板をほめると、業界はすぐテングになり、構造用合板の値上げを画策するから‥‥。 たしかにスジカイは それなりに強い。 だが、ツーバイフォー協会が行った実験では、スジカイは、同時に 「ドーン」 という大きな音を立てて、Y方向のスジカイだけでなく、X方向のスジカイも、全部が同時に折れた。
つまり、ツーバイフォー工法には通し柱がない。 あるのは集成材の高価な梁ではない。 210とか212という根太材と構造用合板で固められた 強固な床。 つまり、ツーバイフォー工法は、ホンザネ加工をした厚い一体床を、接着剤と併用してクギ打ちをする。 この厚い一体床のダイヤフラムによって、耐震強度が保たれている。
この床のダイヤフラムに、一体壁と野地合板が加わり、ダイヤフラムを より完全なものにしている。 これが、ツーバイフォーの信じられない耐震力になっているのだ。

これを知って以来、私は更にツーバイフォー工法に惚れ直した。
そして、いかなるスジカイも震度4~5の地震には使えるが、震度7の烈震には使えないことが、中越地震で明快になったと考えた。
それにしても、川口町のスーパーウォールは、よく頑張ったと思った。
ところが、倒れなかったスーパーウォールに住む奥さんが、その嘆き節を 聞かせてくれたのには びっくりした。
「確かに、この家は倒れなかった。 しかしあちこちの外壁がズタズタになっている。 それだけではなく、以前はそれなりに気密性能があった。 ところが、この家は一切の気密性が失われた。 前の坂をのぼる車の音で、夜だけではなく昼間もこのとおり悩まされている。 このクレームは一体誰に言えば良いのか? 誰が責任を持って直してくれるのか?」 と。
そこで、私は初めて気密性能の処理の重要さと、その意義を学ばせられた。
そして、トステムはこの中越地震に自信を得たせいか、それから約5年後に、「スーパーストロング構造体」 なるものを売出していることを、最近になって知った。
http://tostem.lixil.co.jp/lineup/kouhou/

私は、トステムが妙見屋からトーヨーサッシに変わるところをよく見てきた。
故潮田健次郎氏が、トステムビバに変更する折にも、いろいろ相談に乗ってきた。 潮田氏か社長や会長をやっている折には、何度となく呼ばれて足を運んだ。 当時の開発担当者とも親しくさせて頂いた。 当然、スーパーウォールの開発も知っていた。
たが、「スーパーストロング構造体」 のことについては、何1つ知らなかった。
洋一郎氏が会長になり、藤森義明社長になられてからは、私などの出る幕は皆無に。
このため、スーパーストロング構造体のことも、ごく最近まで全く知らなかった。
ともかく スーパーストロングは、写真で見る限り204ないしは206の構造体を用いているようで、3×6ないしは3×9尺ものの外壁合板を使用しているらしい。
そして、全棟の耐震性能は、最高等級3相当の強度を持っていることを強調している。
それだけではない。 万が一地震で倒壊した場合は、2000万円まで負担する 「地震保険」 がついている。 もっとも、この地震保険を有効に活用するために、販売店や工務店が制約を受け、2度に及ぶ検査に合格しなければならない。 この制約は当然だと思うが、基礎構造、床・壁・野地構造についての細部仕様が、私は入手出来ないでいる。
どなたか関心がある向きが、各部位の詳細図を入手されて、ヒントを教えていただければとお願いしたい。
なお、最近のスーパーウォールの性能は どのように変わったかについても、担当者に聞いて頂くしかない。 私が知っているのは、古い時代のC値とQ値。 それが、そのまま現代に引き継がれていると考えることはムリ。

なお、中越地震の後に金物工法が開発され、通し柱が折れない在来軸組工法が開発されてきた。
このことに関しては、私は素直に喜んできた。
ところが最近になって、ミサワホームをはじめとした大手住宅メーカーが、すべてこの金物工法に変わったことを知り、複雑な気分になっている。
というのは、金物工法を採用することは非常にベター。
しかし、各社ともに3尺間隔に集成梁を入れたりして、材積がやたらに増え、価格が軒並みに2~3割も高くなってきている。
私が、アメリカなど北米やオセアニア諸国でオープンになっているツーバイフォー工法を、オープンな形で導入したいとシャカリキに運動したのは、日本の在来軸組に比べて北米の住宅価格が、2~3割も安かったから。
その安くなるべく可能性が高いツーバイフォー工法を さておいて、高価な通し柱のある金物工法へ移行しょうとする大手メーカーの根性が許せない。

たしかに、北米では主流は分譲住宅。 中小の住宅業者が土地の値上げて儲けることを拒否して
消費者が入手出来る安い価格で提供してくれている。
第一に、住宅販売に大手メーカーがのさばってくること自体が、欧米では許されていない。

日本の消費者の意識を変革するのは、合理的な中小業者が頑張るしかない。
この基本を、一瞬たりとも消費者が忘れないことが、第一歩かもしれない。




posted by uno2016 at 08:46| Comment(0) | 技術・商品情報 | 更新情報をチェックする
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