2016年11月26日

本当に健康で、100年間性能が劣化しない住宅は可能か? (上)

今年の1月に、本著が出版されたことは知っていた。 しかし、わざわざ買って読みた
いほどでもなかったので、そのまま放置していた。 
ただ、本日図書館で目に入ったので借りてきた。 この本を読んで、言いたいことが山
のように積まれた。 その中で、ポィントだけを2回にわたって掲載したいと思う。

著者の松本祐氏は 1949年生まれと言うからまだ67歳と若い。 近代ホームを創設し、
現在は同社の名誉会長。
ともかく、「外断熱住宅はもう古い。 これからは高気密・高断熱の健康住宅の時代だ
」 と叫んで10冊近い出版物を出している。 私よりも5年遅れでこの業界へ飛び込んで
きた異端児。
私にとっては子供のような存在であり、下手に扱うとトバッチリが飛んでこないとも限
らない厄介な存在‥‥。
この本は、人生は100歳まで生きて当り前の時代になってきた。 したがって、百年健康
住宅は当前の時代になってきた…という大前提で、これから建てるのなら、「最低百年
間は長持ちして、健康を守ってくれる高気密・高断熱住宅を選択しなければならない」
と説いている。
その限りでは、まったく異論がない。
しからば、近大ホームに自宅の建設を依頼するかと聞かれれば、正直なところ私は二の
脚を踏んでしまう。

ご案内の通り、住宅の断熱性能は今まではQ値て表現されてきた。 例えは20年前のカナ
ダ政府が開発したR-2000住宅の場合は、Q値 (熱損失係数) が1.3~1.4W/㎡kであった。

したがって、高断熱住宅というのは、Q値は1.4W/㎡k以上のことを指すのであり、最近
ではQ値が1.0Wを割ったものでなければ、高断熱住宅と呼べないと言われるまでに進化
している。
たとえば、北海道の最低Q値は1.6W/㎡kで、東北が1.9~2.4、関東などの内地は
2.7W/㎡kで、沖縄は3.7W/㎡kである。
その中で、一条工務店のQ値0.51W/㎡kという i-スマートシリーズ Ⅱは光り輝いてい
る。
ところが、平成25年からUA値 (外皮平均熱貫流率) と呼ぶように変更されて、私のよう
に長い間Q値で育った人間には、なかなかUA値の数値には馴染めないでいる。
いちいちQ値に変換しないと、その有難さが、理解出来ないのだから嫌になる。

今までは、全国をⅠⅡⅢⅣⅤⅥの6つの地域に分けられてQ値が表示されていた。
それが平成25年の基準ではUA値がに変わり、8つに分類されるようになった。
●Q値 (熱損失係数 W/㎡k)
北海道Ⅰ地区 東北Ⅱ地区 東北Ⅲ地区 関東以西Ⅳ地区 関東以西Ⅴ地区 沖縄Ⅵ地区
 1.6W/㎡k  1.9W/㎡k  2.4W/㎡k   2.7W/㎡k   3.7W/㎡k
●UA値 (外皮平均熱貫流率 W/㎡k)
北海道1 北海道2  東北3  東北4 関東以西5 関東以西6 関東以西7  沖縄8
 0.46   0.56   0.75  0.87   0.87    0.87         -

この分類で旧来のQ値1.6W/㎡kは、AU値で言うならば0.46W/㎡k前後だと言うことが
何となく分かる。
つまり、本著で言っているところのUA値0.32~0.49Wは、大まかに言ってQ値では1.1~
1.7W/㎡kということになる。 北海道の基準値は上回っているが、しかし1.0W/㎡kは
切っていない。 高断熱住宅と呼ぶには、少し物足りないという気がどうしても起こる。
そして、決定的なことは硬質ウレタンの断熱パネルを床・壁・天井に施工していると何
回も強調しているが、その厚みや施工方法については何も語ってはいない。
同社のホームページを拝見すると、半分はFPの家で、90%以上は在来木軸に依存して
いるよう。
一部にはセキスイハウスによる軽量や重量鉄骨造や、一条工務店のi-smart などを紹
介しているが、どこまでもFPを中心とする在来木軸工法の住宅群だと考えるべきだろう。
ただ、3寸角の柱の充填断熱として 10.5c㎡厚の硬質ウレタンを施工しており、「高気
密・高断熱住宅オンリーの会社だ」 と断言しているようだ。

同社の住宅を、「高断熱住宅業者」 と言うには、どうしても抵抗がある。
最近の私は、東京周辺の住宅でも206材を使った最低140ミリの断熱材を入れたもので
ないと、「高断熱住宅とは言えない」 という確信めいた考えが芽生えている。つまり、
Q値で1.0W/㎡kを上回る性能を持っていることが不可欠の要件だと思うようになって
くる。 そういう意味では、一条工務店の206の壁140ミリ+50ミリの外断熱が、ピッタリ。
筆者は床と外壁は16キロ (熱伝導率 0.046W/mk) のグラスウールだと200ミリ相当、
天井は300ミリは必要だと説いている。 熱伝導率が0.023Wの硬質ウレタンフォームを外壁
に採用しているから、10.5センチ厚でもそのように断言できるのだろうが、私の唱える
140ミリ厚だと34%のオーバーになり、硬質ウレタンだとQ値はかぎりなく0.8Wに近付く。
つまり私は、高断熱住宅と言う以上は、Q値を1.0Wを切って欲しいというのが本音。

一方、「高気密」 の方は、全ての住宅で隙間相当面積を検査するのが大前提。
私の経験では、外壁断熱材には15kgではなく24~32kg/m3品を採用してきたが、断熱材
はすべてグラスウールであったことは間違いない。 このため、べバーバリアを入れて
も、気密性能なかなか0.5c㎡/㎡を突破するのは容易ではなかった。
北海道と内地の業者で、コンスタントに0.2c㎡/㎡を突破している業者がいるが、これ
は1階部分のべバーバリアをダブルに入れているから可能に‥‥。
たしかに ダブルにべバーバリアを入れることに賛同したいのだが、このダブルにべバ
ーバリアを入れた住宅の空調換気工事を施工した空調業者は、「2度と 同じ工事はやり
たくない。 大変な赤字に泣かされた」 と 発注した私に泣きついてきた。
そんなこともあって、1階のべバーバリアをダブルにした方がよいかどうかで、未だに
迷っている情けない有様。

その点では硬質ウレタン10.5c㎡の充填断熱考えている筆者の場合は、外壁と床や天井
等との結合を考えるだけで良く、この25年間の平均気密性能は、「0.5c㎡/㎡以内に納
まっている」と著者は断言している。
たしかに、挙げられている13者の場合の数値は、すべて0.2~0.7c㎡/㎡以内。
しかし、0.2c㎡/㎡と言う数字には、簡単に納得出来かねているというのが現実。


posted by uno2016 at 17:09| Comment(0) | 書評(建築・住宅) | 更新情報をチェックする
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