2016年01月15日

一条の i-smart は、どこまでも個別認定として対応?‥‥ (下)



一条工務店が、i-cube や i-smart で、「本格的に ツーバイフォー工法に乗出す」 との噂を聞いた時、私は双手を上げて賛同した。
なにしろ大手メーカーは 「ゼロエネルギー住宅」 などとカッコを付けてはいるが、肝心の気密性能はR-2000住宅の0.9c㎡/㎡を切ることが出来ず、1.5~5.0c㎡/㎡辺りをウロチョロしている。
これに対して、一条工務店の i-smart は0.7c㎡/㎡と、R-2000住宅を上回っている。
このため、ほとんどの消費者は、「マンションの方が隙間風がないので、低層のプレハブ住宅よりは暖かい」 と言う間違えたイメージを抱いている。 情けない話だがこれが現実。
これは、間違えたイメージを抱いた消費者が悪いのではない。 大手プレハブメーカーが中心になって、数年前に 「住宅性能」 から肝心の 「気密性能」 の項目をカットしてしまった。
それが、鉄骨プレハブ業者だけの蚕動だったら 納得もできる。 そうではなくて、ツーバイフォーの大手メーカーが黙殺したので、国交省のお役人や 学界のお偉方まで 一斉にプレハブメーカーの尻馬に乗っというから、情けない。

皆さん。 世界の先進国の中で、住宅に対する気密性能の基準を持っていないのは、日本だけだという事実を知っていますか!?  
こんなみっともないことをやっているから、日本の住宅産業界はいつまでたっても国際的な競争力が身につかず、世界と戦えないでいる。 アジアの大きな市場に対しても 口の中に入れた指先きをしゃぶっているだけ!  内弁慶でまったくダラシないのが、日本の住宅産業界と国交省。
だから、私は大手住宅メーカーの一角から。「高気密・高断熱を謳い、Q値が 0.8Wを切る一条工務店が誕生し、三井ホームを追い抜いて画期的な高度成長を続けていること」 を、消費者と共に大歓迎した。
そして、全国のビルダーにメッセージを発した。
「一条工務店並の性能住宅を、一条工務店並の価格で提供出来ない地場ビルダーは、間違いなく消費者から見離されてしまう。 ここらで一念発起して、一条工務店の向こうを張るシステムを開発して、対抗策を構築出来ない企業は、潰れてもやむを得ないと消費者は考えている」 と。

しかし、この時点では、一条工務店が開発したツーバイフォー工法は、公庫の標準仕様書に準じているものだと信じていた。
そして、昨年から私の知合いが相次いで一条工務店と契約して 着工が始まった。 私も数人の消費者に頼まれて 現場へ入った。 いくら完成した i-cube や i-amart を見ても、出来あいの美しさは分かるが、裏側の実態がさっぱり分からなかったから。

一条工務店の基礎工事は、納得出来るものだった。
RC造のビル工事の現場を見て、「バィブレーターが入っていない」 と 騒ぐ人もいるが、木造の基礎工事の場合は 原則としてバィブレーターが必要ない。 基礎高も低いし、2階床工事のように横へコンクリートを打つこともない。
これは一条工務店に限ったことではなく、20年前の現場に比べると、最近の一般的な低層住宅の基礎工事は、格段に良くなってきていると断言できる。 現場の職人さんの技能レベルが、全体的に底上げされてきたのが大きな要因。
余談になるが、神戸の現場はひどかった。 1/3以上が無筋で、コンクリートだけという現場を多く散見した。 また、某大手プレハブ会社のプレハブ基礎は 見事に横転していた。 やはり基礎は現場打ちの布基礎に限ると痛感。
これに対して、同じ直下型の震度7という豪雪地・中越地震では、高床のために立上りと1階床は共にダブルに配筋がなされていたせいか、木造部分は倒壊していたが、ほとんどの基礎工事は無傷。 もちろん必要に応じてバィブレーターを採用していたと思う。 これを見て、コンクリート工事に対する私の信頼感が一変したのは、紛れもない事実。

しかし、一条工務店の土台と大引の節の大きさには、ほとんどの施主が呆れていた。
たしかに、いずれも2級とか3級の規格は クリアーしている。 しかし、私が接した施主の大部分は、「これだから、一条に発注したくはなかった!」 と異口同音。
如何に一条工務店の技術者が説得しょうとリキめばリキむほど、心は一条工務店から離れ、後悔の念が滲み出ているのが分った。 そして、前回指摘したように、日本では在来木軸の悪い点をツーバイフォーでも採用し、大引の構造的な懸念を残している。
つまり、「一条工務店というのは、価格を下げるためには肝心な土台や大引という横架材に、平気で2級品とか3級品を使うのを恥じない会社だ」 と言う判断を、ほとんどの施主が下していた。
私に言わせれば、土台や大引に1級品を使ったからと言って、坪単価は何千円しか違わない。 なんで、誰でも最初に目にするところに3級品を使うのか?」 との疑問を抱いた。 こんな常識が通用しないところに、一条工務店の基本センスの問題があると感じた。

さて、私が最初に一条工務店のツ―バイフォー住宅に異変を感じたのは、「一条住宅の評論家」 的な役割を果たしていた、つくば市のS邸の完成間際の住宅を案内された2012年の秋。
まず造作工事がアメリカと全然異なっていた。 アメリカでは、枠付ドアの1ヶ所の施工に、どの大工さんがやっても3分しかかかっていない。 生産性が 日本と丸きり違っていた。 一条か採用していたのは在来木軸用の造作材でやたらに細く、手間暇のかかるものだった。
それよりも驚いたのは、2012年9月15日のブログ欄で取上げた 《石膏ボードに対する哲学》 的な思想のなさ。
開口部周辺に90ミリの端材を使い、内部の出隅部には45~50ミリの端材が堂々と使われていた。
この端材こそが、中越の震度6強地域で大問題を起こしていたというのに‥‥。
後で分ったことだが、ツーバイフォー工法を新規に取上げるというのに、一条工務店は 1人の技術者もアメリカへ派遣して、ドライウォールの本格的な勉強をさせていない。 このため、開口部周辺を コ型にカットすることもなく、どこまでも天井が先張りであるという 《防火の基本》 さえ見落している。 ただその時は、《見落し程度》 と考え、後で訂正してくれるだろうと楽観的に考えていた。

ところが、2013年~2014年の実際の施工という段階になって、一条工務店は外壁合板で必要な壁倍率が確保できるようになったので、「内壁の石膏ボードのクギ打ちは内通りだけではなく、外周も200ミリピッチて打つよい」 と指導しているのを見て、いささか頭にきた。
故杉山英男しの愛弟子の一人に新井信吉氏がいる。 公庫の初期のスパン表を作成した功労者で、現在は構造設計事務所を畳んで、長野の郊外で悠々自適の生活をしていると聞いている。
その新井氏が、口癖のように言っていた言葉がある。
「アメリカでは、クギの大きさとピッチを変えれば、かなり自在に壁倍率が替えられる」 と。
公庫の標準仕様 (正式には住宅金融普及協会の標準仕様書と言う) は、2008年版が最終版になっている。
それによると、CN50クギを外周@100ミリピッチ、中通りを@200ミリピッチで打つと、9ミリ以上の合板1級品の壁倍率は3.5倍と書いてある。
そして、この2008年版から、石膏ボードに基準が替えられた。 12ミリ厚の普通の石膏ボードは1.0倍。 強化石膏ボードは1.3倍。 構造用石膏ボードB種は1.5倍。 A種は1.7倍と変えられた。
(各GNF40クギで、外周@100ミリ、中通り@200ミリ)。
前年までは、外壁合板3.5倍と石膏ボード1.5倍。 計5.0倍。 内壁は計3.0倍を認められており、確認申請上の不都合は一切なかった。 それが外壁か4.5倍、内壁が2.0倍になったので、各方面で混乱が生じたのは事実。

そして、この機会とばかり、一条工務店をはじめ各社は、新井氏の言う通りにクギの長さとピッチを変えて申請した。
CN50をCN65に変え、外周を@50ミリ、中通りを@100ミリで申請し、各社とも9ミリの外壁合板だけで5.0倍の壁倍率を獲得した。
このため、内壁の石膏ボードがなくても確認申請上困難がなくなり、一条工務店のように「ボード張りのクギピッチは、外周も中通りも@200ミリで良い」 というような、内部通達を出すところが出現してきたのである。
この事態に危機感を覚えた私は、アメリカの事情に明るい仲間に聞いてみた。
そしたら、次のように言われた。
「アメリカでは、最初から石膏ボードは耐火性と耐震性がやたらに強いことは知られている。 だが、耐力壁にはカウントされてはいない。 それでも、各ドライウォール業者は、クギピッチを誤魔化すことは絶対にやっていない。 消費者に、より安全な住宅を届けるのがビルダーの義務であり責務。 一条工務店のようなバカげた指示をだすところは皆無だ」 と。
外周@200ミリのクギピッチを見て、私が怒りを覚えた理由がお分かり頂けたと思う。

私は、一条工務店に特別な意図があって石膏ボードのクギピッチを、外周も@200ミリで十分だとの指示を出したとは考えてはいない。
それよりも、公庫の標準仕様書類似した 「個別認定書」 が申請された時点で、マガイモノ申請に対して認定機関が徹底的に標準仕様書を調べ、幾多の問題点を一条工務店に突きつけ、改定を求めるべきだった。
しかし、私の仲間が言うように、「最近の認定機関の不勉強ぶりには、呆れる。 世界の木造事情がどうなっているか、認定の実態はどうなっているかについて、ありにも無知すぎる」 と言うのが実態らしい。
彼らにとっては、認定機関は定年後に送り込まれた再就職先に過ぎず、申請された物件をなるべく通すことが業務だと考えているのではなかろうか。
そして、いくら認定機関の不備を指摘してもカエルの面に小便で、握り潰されるのが落ちではなかろうか?

私は、一条工務店の内実を見て、一条工務店自身が本格的に内部改革を進め、自らの申請内容を大幅に替えない限り、i-smart を選びたいとは考えなくなってきている。
確かに、私には代替を選ぶ権利と選択肢を持っている。 しかし、多くの消費者にとっては、代替業者を選ぶのは大事。 だとしたら、i-smart を選択するこがベストではないけれども、ベターかもしれない。
たしかに、i-smart には、土台と大引の大きな節がある。 公庫の標準仕様書を無視した床合板や石膏ボードの工事もある。 24時間ダーティゾーンからの換気も期待できない。
しかし、i-amart は、特認を得ている。 欠点を一条工務店に押し付けるのではなく、確認機関へ押しつけて、心の安心を得る。
そう割り切れれば、i-smart とか i-cube は、価格で買える性能として、最高級品に近い。
間違えても、大手プレハブメーカーの商品を選んで、後で価格と性能で泣かされるよりも一条工務店を選んだ方が消費者の声を聞いてベターだと、私は思う。

つまり、これは選択の問題。
ベストを選ぶ自信のあるご仁は、自分の自信に賭けて頂くのも1つの選択肢だと思う。




posted by uno2016 at 11:41| Comment(0) | 技術・商品情報 | 更新情報をチェックする
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