2016年02月15日

アメリカで、かなり前から普及している206材の両面にOSBボード張り!



OSBという面材を、ご存知だと思う。
オリエンテッド・ストランド・ボードの頭文字を集めたもの。 日本農林規格(JAS) では、「構造用パネル」 と呼んでいる。
つまり、構造用合板を作るには良い単板が必要になってくる。 しかし、良い単板は簡単に得られなくなってきた。 そこで、構造用合板に匹敵する性能をもったものとして、木の繊維を混合したOSBが開発され、日本だけでなく世界で広く使われてきている。
OSBを単に構造用合板に変えるだけだったら、それほど意味がない。 アメリカではかなり早い時期からこれを206材の両面に張り、中に硬質ウレタンフォームを充填したパネルが開発され、軽量で性能が高いことから広範囲に採用されてきている。

これを参考にしたA&M社が、このほどアメリカと同じように206材の両面にOSBを張り、中国から硬質ウレタンをリズナーブルな価格で輸入して、昨年に発売を開始した。
しかし、構造用合板を両面に張るという意識が日本人の中にはない。 片面の外部には構造用合板を張れば、内部の壁は石膏ボードで十分という意識が残っている。 余分にカネをかけても、誰一人として褒めてはくれない。 このため、発売は開始したが、未だに実績はない。
しかし、中越で震度7強という直下型の激しい揺れを体験した川口町の激震地。 大雪に耐えるために4~5寸という太い柱の家が、軒並みに倒壊していた現場を見て、私の考えが変わった。
よく言っているように、震度7強という激震に耐えられる住宅を創れないようでは、お世辞にもプロとは言えない。
震度7強の激震地に残っていたのは、構造用合板を利用したトステムのスーパーウォールのみ。
これから見て、ともかくスジカイなどより、面材の使用を大前提に考えねばならないということは分った。 しかし、それ以上のことは考えられなかった。

その時、A&M社は両面OSBを張り、硬質ウレタンを充填したパネルで、日本の検査機関で壁倍率7.3倍という認定を得たというニュースを昨年の夏前に得た。 私の認識では、地震国日本の検査機関は厳しい。 どんなに力んでも、壁倍率は5.0倍しか認めてくれない。
私が知っている唯一の例外は、長野に本社を持ち、オーストリアの技術で息の長い商売をしている 「自然の住まい社」。 何しろ無垢のランバーを何枚も交互に組合わせた、いわゆるCLT (クロス・ラミネーテッド・テンバー) で壁厚が17センチもある。 10年以上も前に日本の検査機構で壁倍率8.0の認定を得ている。 何しろ木造なのに150分の耐火記録を持っている。 ただ、残念なのは坪価格は100万円と高すぎ。
それに次ぐのがA&M社の7.3倍。 したがって特筆すべき内容だと言える。
これを何とか普及させたいと考えた。 そして、応募してくれたのがA邸で、A&M社とA氏に任せていたら、Q値が0.8Wではなく、予算の関係もあったようで1.0Wになり、とてもじゃないが私のホームページで紹介出来る内容ではなくなった。
しかし、私はいつものように下記のプランに基づいて計算した結果、Q値は0.8Wを上回る試算が得られている。

基本プラン.JPG

このプランは平凡なもの。 特別な内容もなく、40坪の平凡な3LDK住宅。
ただし、このプランは204の住宅を中心に考えられているから、延床面積は132.5㎡ (40.08坪)。
これが206となると壁厚が51ミリ増えるし、9ミリのOSBも1枚増えるので+9ミリ。 さらにA&M社は配線・配管用のスペースとして、内壁の石膏ボードの下に38ミリの空間を取ることを考えている。 都合壁厚が98ミリ増えることになるので、壁芯で計算すると延床面積は136.3㎡ (41.2坪) になる。
そして、私のQ値計算では、壁はA&M社の提唱している内容と同一で、断熱部分が77%で、木部ヒートブリッジ部分が23%。A&M社の607ミリピッチのスタッドに比べると、はるかに木部の比率が多い。 だが、外壁部のU値は0.126。
1階床は404の土台・大引の上に204で両面OSB張りで、硬質ウレタンを充填。 断熱部分が90%で、木部が10%。 それでU値が0.187。
そして、天井部が実際の図面と異なるが、206の455ミリピッチ。 両面にOSBを張り、硬質ウレタンを充填は変わらない。 天井石膏ボードは、OSBに直張り。 U値は0.129。
それと、土間床と90%熱回収の換気装置を設置して、開口部のサッシやドアを0.85で計算して、Q値は0.8Wどころか0.7Wを上回った。 しかし、これはあくまでも紙上での計算値で、A邸のように、遺産調査の関係で土間コン床スラブに変更を余儀なくされた場合は、Q値が1.0W前後になる場合もありうる。

外壁壁厚.JPG

この住宅の外壁は写真のとおりで、206 (140ミリ) の両側に9ミリのOSBが張ってある。 これに加えて内壁の12.5ミリの石膏ボードの下に、204の端材を使って38ミリの配線・配管空間が設けられることになっている。

40年前のアメリカでは、工場経営を参考にして、大工さんなどの職人の生産性を上げることを必死に考えた。 その結果、工場に倣って職人の専門化を推進した。 一人の大工さんが全ての職種をこなす昔のやり方では生産性が上がらない。 最初はフレーミング工と造作工への分化。
しかし、グループ化するフレーミング工と一人で仕事をする造作工では、分類の方法が異なっていた。 造作工はさらに専門化することによって生産性がアップした。 このため、サッシの取付専門工、内部木製ドアとドア枠取付専門工、幅木と回縁の専門工、2人1組の天井ボード工、1人でやる壁ボード工という具合に‥‥。
こうした 「現場の工場化」 によって生産性が上がり、高い賃金を払いながらもコストは低く抑えられてきた。 それを先導したのが地場のビルダー。 アメリカでは、こうした地場ビルダーの供給する分譲住宅が80%を占めるまでになった。
これに対して、日本は未だに戸別注文住宅が主流。 これは、分譲の地場ビルダーが、土地投機に走り、土地の価格と建築費を一緒に上げてしまい、地場ビルダーの分譲住宅の魅力を失わせてしまったため。 このことが、地場工務店を生き延ばした。
だが、人口減による着工戸数の急激な減少は、地場工務店の存在価値危うくしている。

アメリカは、こうした 「現場の工場化」 によって地場ビルダーが蘇生したが、現場の工場化には限界があった。 次に襲ってきたプレハブ化には、一定の資本力が求められた。
その時に同時に求められたのは、壁などの緊結方式。
現場の工場化の時は、壁をはじめとした現場の一体化であった。
「壁はどんな場合でも一体化して起こさなければならない」 と 「床や屋根合板の千鳥張りがどこまでも原則」 が、金科玉条のように唱えられていた。
最初は、何とかして壁の一体化を図っていた。 しかし、プレハブ化は、壁よりも屋根の施工が最も効果的。 足場の悪い高いところでの作業は、プレハブ化された長くて重い屋根パネルと、それを楽々と持ちあげるクレーン車の威力にかなうものはなかった。
このプレハブ屋根の緊結方法に工夫がこらされて、千鳥張りにしなくても、屋根の一体化が可能になってきた。
つまり、屋根パネルも両面にOSBを張り、硬質ウレタンを充填したものが多くなってきている。

ここで、私の考えを述べたい。
北海道のような寒冷地の場合は、外断熱で外壁を膨らませることが不可欠。
しかし、関東以西の場合は、206の壁ですべてを処理をしたい。 外壁を膨らませると、どうしても手間がかかるだけでなく、耐震性が弱くなってしまう。 それと、アメリカのように外壁だけをパネル化するのではなく、屋根のパネル化も必然。
でないと、余分なコストがかかり、工期も大幅にのびてしまう。
それと、パネルのジョイントをどうすれば一体化するかと言う面で、もっと本格的な実験や研究調査が絶対に必要になってくる。
今回、A邸で採用したのはカネシンの金物。 短いネジ釘を使い、2枚の金物を並列ないしは両面に施工すれば、21.6KNの力があると書いてある。 トンで言えば2.2トン。
これが、どれだけの大きさの壁に、何ヶ所必要なのかは、この金物を使ったことがない私には分からない。 不勉強で申し訳ないが、カネシンに聞こうと思ったら土日になってしまった。
詳細は、後日に報告することで許して頂きたい。

外壁施工例.JPG

上の写真は、壁の接合部分。

カネシンの金物.JPG

上の写真はステンレスのネジクギ付きのカネシンの金物。

金物施工例.JPG
上の写真は、とりあえずパネルの外部接合部に使った例。

Iジョイスト.JPG

なお、この現場では、天井根太には208のIジョイストを、屋根タルキには210のIジョイストを607ピッチで採用していた。 Iジョイストに関する記述は、別の機会にしたい。
写真を見ても気が付くように、少し材を使い過ぎているようにも感じられる。

いずれにしても、多くの問題を提起しているA邸の現場ではある。




posted by uno2016 at 14:01| Comment(0) | 技術・商品情報 | 更新情報をチェックする
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