2016年06月15日

改めて考える、東京でどれだけの断熱性と気密性が必要なのか?



私は、5年前までは東京以西の断熱性能値、Q値は1.0W/㎡・Kでよく、気密性能値のC値は0.9c㎡/㎡で十分と考えていた。

そこへ一条工務店の i-smart が誕生。
i-smart は、当初Q値は0.7W近い数値を発表していた。 しかし、ヨーロッパやカナダではダーディゾーンからの24時間連続運転で顕熱交換機で排気を行っていた。 日本ではそうではなく、全熱交換機を採用しての運転。
ということは、ダーディゾーンからの悪臭や細菌なども新鮮空気に移行する可能性が高いということ。 このため、一条工務店は浴室・トイレ・台所などターディゾーンからの汚れた空気は熱交換させずに、直接外へ捨てていた。 給気は、なるべく空気が汚れていない2階の一部を利用しているように見える。
これではどう考えても、Q値が0.7Wになることはないと考え、一条工務店のQ値は信用出来ないと叫んだ。 この結果かどうかは知らないが、最近の一条工務店の発表では下記のとおりQ値は0.82W/㎡・kと発表しており、C値は0.59c㎡/㎡と発表している。

http://www.ichijo.co.jp/ismart/technology/eco.html

なお、このC値を確かめたところ、某営業責任者は、「C値は必ずしも0.6c㎡を切るという訳にはゆかず、0.7c㎡以下と考えて頂いた方が正解かもしれない」 と言っていた。
そして、この i-cube や i-smart は、昨年は2万戸近くも売れたらしい。
そして、住宅ジャーナル誌の編集長が今年の6月号で驚いて書いていたが、「2014年にはなんと戸建住宅だけで1.2万戸も売れ、注文住宅では全国2番目の大企業になっていた」 。
上の i-smart のページを開くと、2015年3月末の業績が記載されている。
それによると資本金は約6億円で、年商は約3400億円、経常利益は約290億円、従業員数は約4400人となっている。
確かに戸建住宅の売上は2位だが、住宅展示場の数は400を超えて全国一。 そのほか太陽光発電の搭載率も90%を越えて全国一。 さらに1戸当たりの平均太陽光発電搭載量も、戸建住宅の屋根だけではなくガレージの屋根を使って、10kWをはるかに超えているらしい。
在来木軸の小さな企業が、ツーバイフォーのパネル工法 i-cube や i-smart で このような大企業に変身していたのである。

同社のツーバイフォー工法は、金融公庫の正統派からみれば、かなり間違った内容であることは過日、書いたとおり。
そしたら、某社からメールが入って、「一条工務店の問題点を箇条書きにして欲しい」 という依頼があった。 おそらく、急成長した同社を叩くための手段にしたかったのだろう。 これは同社の間違いと言うよりは、認定機関の早トチリだと私は考えていたので、某社からの依頼には答えなかった。 いまでも、私は自分の行動が正しかったと考えている。
何故かというと、一条工務店を選んだ多くの消費者が、同社の高気密・高断熱という性能に満足しており、30~40坪の住宅の価格が、オプション工事を入れても70万円台で収まり、古い冷蔵庫や洗濯機を買い変えると、十分に光発電でゼロエネに近い生活ができているから‥‥。

ということは、一条工務店のQ値0.82W/㎡・kが、今では東京以西においても断熱性の標準になっており、気密性能のC値は0.59c㎡/㎡が標準と考えてきているようだ。
今どき、北海道のⅠ地域が1.6W/㎡・k、東北のⅡ地域が1.9W、Ⅲ地域が2.4W、Ⅳ~Ⅴ地域か2.7Wとの次世代省エネ基準を持ち出しても、誰1人として有難がってはくれない。
次世代省エネ基準でマゴマゴしているような企業は、如何に大手といえども先進的な意識の持ち主だと、誰も相手にしなくなってきている。
このような状況になることは、数年前に予測出来たので、地場のビルダーに 「なるべく早い時期に、一条工務店対抗商品を持たねばならない」 と警鐘をならしてきた。
ところが、ほとんどのビルダーは、警鐘を無視するか、身を縮めただけ。

ご存知のように、一条工務店は206材の外壁にEPS (ビーズ法ポリスチレンフォーム 熱伝導率0.034) を採用している。
どんな断熱材を採用するかは、各社の勝手。
今もって一番多いのは、安くて入手が簡単なグラスウール。
しかし、熱伝導は10キロ物で0.05と低く、16キロものでもやっと0.045という低さ。 もちろん
24キロものだと0.038とやっとロックウール並になる。
ロックウールはグラスウールよりは防火面では強いが、直接炎が当れば縮んでしまう。 したがって、北海道やドイツなどの寒冷地では不燃建材の裏側で、鉄筋コンクリート造の断熱材として、塗壁仕上の下地材として使われている例が多い。
次に使われているのは、新聞紙などを使ったセルロースファイバー。 これは若干の湿度調整機能と吸音性に優れているが、防火性に弱く リホーム工事などで表面材が破けた時には大変に厄介。 熱伝導率は0.038とロックウールと同一。 したがって、日本では圧倒的にロックウールが採用されている。 これ以外に、例外的に鳥の羽根などを断熱材として使う例がある。

グラスウールやロックウールに次いで多いのが、押し出しポリスチレンフォーム (XPS)。
何しろ熱伝導率が0.028. しかし、ビーズ法ポリスチレンフォーム (EPS) に比べると時間の経過で劣化が早い。 このため一条工務店は、熱伝導率0.034のEPSを選んだ。
ただし206の充填断熱としてだけ使うのなら良いが、プラス50ミリの外断熱としても採用。 熱に弱いので、難燃処理が欠かせない。
つまり、190ミリのEPSの外壁断熱とペアガラスの樹脂サッシで、一条工務店は、Q値0.82W/㎡・kを達成していると考えてよい。 ところが、一条工務店の真似をして、私も北海道に倣って206+60~80ミリのロックウール外断熱を採用して見た。
一言で言えば、北海道では外断熱は必要最低限の条件として許されるだろうが、内地での外断熱は手間暇がかかり過ぎる。 結局、売価が高いものになってしまう。

だったら、206材の両面にOSBを張り、硬質ウレタンフォーム (熱伝導率0.023) を施工し、配線や配管を石膏ボード下の38ミリの空間で行った方がはるかに手間暇がかからず効率的。 耐震性能がバカにアップするので、素晴らしい案ではないかと考えた。
硬質ウレタンフォ ームでは、アキレスボードが日本では有名。 そのアキレスに依頼するのでは高くなる。 中国などのメーカーを使って安く仕入れ方法を考える。
と同時に、硬質ウレタンの充填は工場のみで行い、大型パネルの需要に特化する。 
硬質ウレタンは、アキレスの例を見ても准不燃扱いを受けているが、准不燃の認可の取得するにはカネがかかる。 したがって、地場ビルダーに呼びかけて、共同開発を行うしか方策がない。
私が第一線に立っていたら、ある程度は強引なことをしたかもしれないが、こうした案を出すのがやっとという有様。
したがって一条工務店対抗商品は、未だに生みだされていない。

一条工務店のQ値0.82W/㎡・k、C値0.59c㎡/㎡というのは、それほど難しいことではない。
難しいのは、一条工務店に対抗出来る価格体系。
北海道の一部の業者だと苦もなく出来ることが、システムとして考えた場合には難航を極める。
正直なところ、こんなに難航するとは、考えてもいなかった。

私の判断の甘さが、元凶らしい。 嗚呼。




posted by uno2016 at 15:45| Comment(1) | 技術・商品情報 | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
一条工務店は、既にEPSから高性能ウレタンフォームに
変更し、現在は熱伝導率0.020W/m・Kとなっています。
昨年度の平成27年度にi-シリーズⅡという商品名で
「経済産業大臣賞」を獲得しました。

https://www.ichijo.co.jp/topics/i-series2/index.html
Posted by at 2016年06月18日 21:42
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