2016年10月05日

「生物の多様性」 は内容が漠然としており 「気候の暴走」 に取換えたが‥‥。



私の読書の範囲は、多岐に亘っている。 やたらに範囲が広い。
しかし、政治問題だけは物議を醸しそうなので、最初からノータッチ。
最近 「生物の多様性」 問題が注目されており、最初の頃には工作舎の出版で宮下直著の 「となりの生物多様性」 を取上げるつもりで 準備を進めていた。 ところが内容は、「医・食・住から ベンチャー」 まで多岐に亘っていて、大変に面白かった。 だが この欄で取上げるには、内容が学術的にすぎて相応しくない。
そこで急遽、横山裕道著 「気候の暴走」 (花伝社) に切替えることにした。

ご案内のように、1997年に世界各国の代表者が京都に集まり、国連気候変動条約の第3回条約会議 (COP3) が開催され、「先進国はCO2の改善目標が、1990年比で2008年から2012年にかけて5%を削減する」ことが決められた。 具体的には EUが8%、アメリカが7%、日本が6%。
この時は、開発途上国が猛反発した。
「地球温暖化の責任は、主に先進国にある。 各国が、18世紀以降 率先してCO2を排出して経済成長を遂げてきた。 現在の温暖化の主要な責任は先進国にある」 と反発。 そういった経緯を塾知していたし、アメリカが7%案の国内批准を諦め、温暖化の無政府国になリ下ってしまった。
また、CO2を地中に埋めてしまうという技術が開発されつつあるというニュースも得ていた。
その程度の知識があったことと 最近テレビや新聞で温暖化問題が取上げられていないので、この難問はとっくに解決されたのだと早トチリしていた。
そして、年寄りが片手間に取上げるには、「気候」 の問題は、恰好の問題だろうと軽く考えて取上げることにした次第。

しかし、この本を読んでみて、地球の温暖化問題は、どうにもならないところまで 追い込まれていることを知り、私は世界の動きを正しく把握していない至らなさと、知識の乏しさを 嫌というほど知らされた。
まず昨年の12月に、「これ以上の温暖化に、どうしても歯止めをかけるべきだ」と、パリでCOP21が開催されていた。 これには中国やインドなども参加しており、それまでの京都議定書のように 「先進国のみが 温室効果ガスの削減義務を負っていたものから、2020年以降は途上国を含む全ての国・地域が削減に取組む」パリ協定を全会一致で採択していた。
その背景として考えられることは、たとえ 先進国の温室効果ガスの排出量がゼロになっても、途上国の温室効果ガスの排出量が減らない限り、排出量の増大が続くということが、誰の目にも 明らかになってきたことが挙げられよう。
中国は2007年にアメリカを抜いて世界一のCO2排出国になったのをはじめ、インド、韓国、ブラジル、メキシコなどの途上国が排出する温室効果ガスが、60%を占めるまでになっていた。
「これを今までのように、途上国は別物だと見逃していてはいけない!」 と、すべての国が考えたとしてもおかしくはない。
しかし、インドでは全人口の1/4近い3億人が、未だに電気のない生活を送っている。 貧困からの脱出を考えている各国にとって、排出量の増大は貧困の撲滅と深く関わっている。
このポィントは、絶対に忘れてはならない。

筆者は、こう書いている。
世界が協力して地球温暖化に立ち向かおうと、京都議定書が採択されてから、そろそろ 20年近くになる。 成果は上がっているだろうか?
答えは、残念ながら 「ノー」 である。 温室効果ガス濃度は増え続け、世界の平均気温は 産業革命前から、約1度上昇してしまった。
これに伴い、世界各地で熱波や干ばつ、洪水などの異常気象現象が目立ってきている。
「このままいったら、我々の未来や子供・孫の未来はどうなるのか?」 との心配声が聞こえてくるようになった。
このまま有効な手を打たないと、「今世紀末には産業革命前に比べると4~5℃上昇し、急激な気候変動が襲う」 という見通しが、世界銀行の報告書に記されるまでになっている。
ご存知のようにパリ協定では、2020年以降は途上国を含めた全ての国・地方で、「2度の上昇を目標に踏襲しながらも、1.5度未満に抑える」 という努力目標を採択している。
しかし、これはあくまでも 「努力目標」 であって、削減目標到達に取組む義務は あるが、削減目標の達成は義務化されていない。 つまり、「目標は掲げなさい。 しかし それが必ずしも達成しなくても、罰されることはありません」 というもの。
「京都議定書は、先進国各国に対して罰則規定を設けていたのに対して、パリの合意書は ユルフンだ」 と筆者は言う。

一番問題なのは、途上国に対する資金援助と技術支援。
「先進諸国は年に1000億ドル以上を、2025年までに設定する」 と明記されているが、自発的資金提供に依存しているだけで、この面でもどの国が何億ドル資金提供をするかが謳われていない。
また、途上国が気候変動で損害と被害を受けた時も、国際的な仕組を整えることは 決まっているが、これも具体的な細目が決まっている訳ではない。
したがって、温度の上昇は2度以内に抑えることは以前からの国際目標になっているが、2060年に4度の上昇もあり得る と世界銀行は心配している。 つまり、なにも人為的な行為が行われない場合は、2度の2倍も高い4度と言う水準が、2060年に達成されるのを世銀は懸念。
そして、筆者の予測によると、「4度も急激に変わることはあり得ない。 激変といっても、「明日にでもすぐ変わる」 ということではなく、「少なくとも数年や数十年はかかる」 と 理解することが適切だと指摘。

地球温暖化の影響もあって、国連防災事務局では1995年からの20年間の洪水や干ばつなどの 気象災害で61万人が犠牲になり、被災者は41億人にも及んでいるという報告書をまとめている。
2003年に、フランスのパリを中心に熱波がヨーロッパを襲い、お年寄りを中心に3万人の死者を出す事件があった。
この時の気温は、平年より2.3度高かった程度だという。 世界の平均気温が 4.0度上がったらどういうことになるか、考えただけでも背筋がゾッとする。
また、世界銀行の報告書によると、2010年にロシアを襲った熱波での死者は約5.5万人、火災による焼失面積は1万平方キロメートル、穀物の不作による経済的損失は150億ドル以上に及んだ とされている。
ともかく、世の中には書店やインターネットを中心に、「地球の温暖化などは起っていない」 とか、「心配なのむしろ地球の寒冷化だ」 とか、「CO2の温室効果は取るに足りない」 というような温暖化懐疑論が横行している。 このバックには、経産省が控えていると 筆者は 「あとがき」の中で書いている。 どこまで信じて良いか分らないが、私のようなオッチョコチョイは、こうした本に惑わされる懸念があるのは事実。

しかし、地球温暖化問題を 「でっちあげだ」 と批判し、「パリ協定からの 離脱をちらっかせているトランプ氏 (アメリカ共和党) が、アメリカ大統領に選出されないことを祈っている」 と著者は正直に告白している。 この点に思わず同調したくなるのは、ご愛敬と言って良かろう‥‥。



posted by uno2016 at 07:41| Comment(0) | 技術・商品情報 | 更新情報をチェックする
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