2016年12月05日

本当に健康で、100年間性能が劣化しない住宅は可能か?  (下)



川口町の烈震地。
それは4寸角の通柱を用いながら、烈震地の倒壊率が90%以上という 直下型の地震の怖さを、まざまざと見せつけられたことに尽きる。

そして、3メートル以上の豪雪地域のために、各戸とも基礎から1階にかけてはダブル配筋のRC造であった。 この鉄筋コンクリート構造のすべてが、何一つ損傷を受けていなかった。
この事実は、予想外の収穫。
つまり、烈震地においては 2階以上の在来木造部門は4寸角や5寸角の柱でも、軒並みに倒壊していたのに対して、鉄筋コンクリート造の基礎および1階に関しては、軒並みに 「完全なるセーフであった」 と断言出来る。
これほどまでに、RC造のダブル配線が地震に強いとは想像していなかった。 私が まったく知らなかった別世界が、烈震地の川口町に展開していた。
これを見て、いま直ぐにではなく、何ヶ月も・何年間もかけて、地震国 日本の6階建以下の中低層住宅においては、RC造を再考すべきではないかと考えた。
たしかに、地震に強いツーバイフォー工法を普及させてゆくことは 肝要なこと。
だが、中低層住宅の需要に対処して、RC造の普及ということも真剣に考えて行かねばならない大命題であることに気付かさせられた。

ご案内のとおり、鉄筋コンクリート造は、公団住宅や公営住宅においては実績がある。
たしかに、RC造は気密性能という点では他の工法に比べて、格段の強みを持っている。
しかも 不燃である。
価格面でも抜群の競争力を持っていることは、公営や公団住宅で立証済み。
この価格競争力は、どこまでも需要がまとまった時の価格。
散在戸別住宅では、RC造はそのメリットはほとんど活かされていない。 散在戸別需要に 対しては今後とも、在来木造住宅が選ばれることが多かろう。

しかし、RC造には 「断熱性能」 という面では、最大級の欠点がある。
多くの公営や公団住宅の入居者は、これに泣かされてきた。 冬期は寒いだけではなく 開口部の結露が大問題になってきた。 これは 単に日本だけの問題点ではなく、ロシアやドイツを含めた諸外国に共通する大問題。
細かいQ値のことはさておいて、なんとか断熱性を持たせたいと世界各国は努力している。 でないと、折角の気密性能が発揮できないからだ。
とくにドイツでは、かなり前から床に断熱材を入れたり、屋上に太陽光パネルを設置するなど、早い時期からいろいろな試行を繰返している。 しかし、ドイツで成功したのは 各戸用に物置空間を開発したぐらいで、肝心の断熱効果では特筆すべきものはなかった。

しかし、数年前から外断熱用に10センチ厚の石綿系の不燃ボードを、硬球が当ってぺシャンとならないように繊維方向を揃え、外張工法で最後にワイヤメッシュを施工してモルタル仕上げをする新工法が、一般化してきている。
つまり、グラスウォールではなく、ロックウォール系で コンクリートに10センチ厚のロックウォール系の断熱材を外断熱として覆い、何とかしてコンクリート系の 1.6W/mkと言う熱伝導率の低さを抑えたいとしている。  
これにプラスされてきたのが、最近流行のQ値0.51Wのトリプルサッシ、ないしはダブルサッシで両面にRow-Eのアルゴンガス入りなどが使われている。 ともかく、結露問題からは解放されたようだが、しかし 10センチ厚の外断熱だけでは、外壁全体のQ値を1.0Wに抑えるのは容易なことではない。 ドイツの最新の、正式な記録を見たわけではないが、私の予測では 1.0Wどころか2.0Wの突破すらも容易なことではないと考えている。
したがって、コンクリート造の気密性がもてはやされるようになるまでには、かなり時間がかかると見るべきだろう。

もう一つの課題は、在来の木質構造の中にッ―パフォーの床剛性と安価さを取入れること。
これは、すでに何回となく提示している。
阪神・淡路大震災と、中越大地震が続いた時には、悠然として聳え建って残っていたのがツーバイフォー工法。 あまりにも惨めな倒壊を見せた在来木軸工法。 これを見て、気の早い私なぞは 「もう在来木軸の時代は完全に終わった」 と考えた。
ところが、金物の活用で通柱が折れない在来木軸工法が開発された。
この金物工法を見て、私などは欣喜雀躍した。 つまり、何にも変え難い喜びだった。
「そうだ。 金物工法と言う秘策があったのだ‥‥」 と。
しかし、この喜びは長く続かなかった。 というのは、価格が ツーバイフォー工法に比べて20%以上も高かったのである。

私が提示したのは、①ツ―バイフォー工法の構造用合板の千鳥張りによる平面剛性の強さを、軸組工法でも採用して、210材を中心に構造材料の合理化を図ることにある。
ところが実際に得られたものは、3尺間隔に入れられている410材の集成材。 そして、3尺間隔に柱材が入れられ、間柱として105センチ×28センチ厚の材が以前の通りに使われている。
そこには、合理化らしい合理化は見当らない。
構造用合板の千鳥張りもなく、いたずらに材積だけがツーバイフォー工法に比べて20%も多用され、その分だけ価格が高騰している。

②これは、何も床だけに起こった現象ではない。
外壁面でも4×8尺の構造用合板と 石膏ボードの採用が日本では見送られた。
たしかに、日本の大工さんには 1人で4×8尺のボードを振回すことは困難。 まして、アメリカやカナダの2人組の大工さんがやっている 4×14尺の天井石膏ボードの採用は、身長の高さから 最初から諦められてきた。
ご案内のように、北米やオセアニアにおけるスタッド間隔は6尺の1/5の36.4センチで、最近では6尺の1/3の60.7センチ間隔のスタッドも増えてきている。
これに対して日本は6尺 (182センチ) の1/2の91センチ、ないしは1/4の45.5センチを厳格に守っている。 どちらかと言うと、日本の方の1/2とか1/4が正しいように感じる。
だが アメリカ人は日常の料理番組でもインチ、フイートの世界に慣れている。 1インチは0.083332フイートというクソ面倒な計算でも、アメリカ人は平気。 したがって、8尺のボードを横張りして、開口部がきた場合は平気でワン・スタッド間隔分を斬捨てている。
これに対して、日本で開発されたのは3×8尺とか、3×9尺のボード。 外壁の構造用合板は3×9尺ものが多く、内装の石膏ボードは3×8尺が圧倒的に多い。 廊下は3尺幅のボードで全てが賄えるが、開口部がくる時は、外側から45.5センチ入った 3.8センチ幅の間柱から3×8尺ボードを張出すのがツーバィフォー工法の常識。 この常識によって、開口部周りの 4.5センチとか9.0センチという端材の使用が防止出来る。
しかし、3尺間隔に柱がくる在来工法では、必然的に 4.5センチとか9.0センチの石膏ボードで埋めねばならず、震度6以上の地震があった場合には、どうしても補強工事が不可欠に‥‥。
これを避けるには、柱、梁で持たしている在来木軸工法を本質的に否定しなければならない。
そこまでのことを考えて、在来木軸工法のデメリットを理解している住宅人は、あまりにも数少ないというのが現実。

③もう1つ問題になったのは熊本地震。
単に古い在来木造住宅だけではなく、比較的新しい耐震基準を守って建てられていた在来木軸工法まで、倒壊ないしは大破されていた。
その原因について、池上彰のテレビ番組で、面白い見解を述べていた。
それは、「1階の耐力壁と2階の耐力壁のズレが、熊本地震では 目立ったからである」 と解説していた。 たしかに、そういったこともあろう。
しかし、私が中越地震の烈震地・川口町で見たものは、「耐震という面ではスジカイはほとんど役に立たず、構造用合板を用いたスーパーウォールが非常に丈夫だった」 と言う事実。
とくに、渡部建設では内壁に6センチと厚い柱2つ割をスジカイに採用していた。
ところが、この柱2つ割の6センチ厚のスジカイは、丈夫すぎて強い横からの圧力を受けた時に、内部の石膏ボードを全て破壊してしまっていた。 そして、外部の構造用合板が効いて 倒壊を免れていた。

この事実を目撃して、私は次のような結論を引出した。
①スジカイはほとんど効いていない。 とくに内部のスジカイは、石膏ボードよりは 弱いスジカイを選択する必要がある。 耐力壁としては2程度を目標にして選ぶべき‥‥。 それには106程度のスジカイが相応しいように感じる。
これはどこまでも感じてあって、この体験を活かすには実物大の実験が不可欠。 あるいは、私はとんでもない間違えた捉え方をしているかも知れないから‥‥。
②そして、耐震面で効果が高いのは、外部に用いた構造用合板。 この面材ほど 効果の高いものはない。 下手なスジカイより何倍もの効果を持っている。 これからは、全ての住宅の外壁に構造用合板の採用を義務化すべき‥。




posted by uno2016 at 17:08| Comment(0) | 技術・商品情報 | 更新情報をチェックする
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