2016年12月24日

信じられないことだけど、32歳の著者がトヨタホームの営業のMVPに!

菊原智明著 「残業なしで トップ営業の鉄則」 (明日香出版 1500円+税)

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今週の記事は何で行こうか‥‥と悩んでいた。 ソーシャルイノベーション研の 「震災復興にかけるダイムラーの行動力」 も素晴らしかったし、村野井均の 「子どもはテレビをどう見るか」 も大変面白く、是非とも紹介したいと考えたが、いづれも簡単には紹介出来にくい厄介な代物。 どうしょうかと悩んでいる時、上記の著書にぶっかった。
いわゆる営業マン向けのお馴染みの本。
ありふれた営業マンモノだと、私も飽きていた。 著者は1972年生まれと44歳と若い。 そして 群大の工学部を1995年に 卒業すると、そのままトヨタホームの営業マンとして 採用されたが、7年間は鳴かず飛ばずの業績。 このままだとクビになることは間違いないと、本人も自覚。
ところが、2002年に「営業レター」を開発してトップセールスマンの仲間入り。 2004年には 600人もいる営業マンの中で、No.1のMVPに選ばれたというからすごい。
「まえがき」 を読んで、この著者に惚れた。 これほど 書き易い素材にぶつかるとは、考えてもいなかった。

しかし、内容を読んでゆくうちに、次第に疑問点が出てきた。
というのは、著者がトヨタホームで大成功を挙げたのは12~14年前。 そして12年前に同社を辞めて、営業をサポートするコンサルティングの会社を設立し、その社長に納まっている。
そして、書かれている本を見ると、「トップ営業マンが使っている買わせる営業心理術」 とか 「稼げる営業マンとダメ営業マンの習慣」 とか 「営業の一流、二流、三流」 など。
どこにでも見かけるありふれた言動で、どの著でも、「残業なしで成果を上げるには‥‥」 ということを問うてはいない。
つまり、12年間の営業コンサルタント業を通じて、同氏がやってきたことは 営業マンにハッパをかける仕事だけ。 それだけでは商売にならないことに気付いて、この著書ではじめて「残業なしで‥‥」 ということを、言いだしたらしい。 これはどこまでも、私の推測にすぎない。

私が本著で感心したのは、1日を3つの時間帯に分けると言うパフォーマンス。 1つ目のサイクルは朝の4時から午前中。 この時間帯に企画の提案書とか文章を書くと言う仕事を当てると 大変に効率が良いと書いている。 この言葉に私は降参した。 たしかに、午前中に企画書とか 文章を作成すると効率がよい。 著者が言うように30分でプレゼン用資料をつくるという習慣を身に付けることの重要性は、十分に理解出来る。
だが 住宅用の営業で、最もポィントになってくるのは顧客の求める間取りや外観が、顧客の希望通りに出来るかどうかということ。 つまり、顧客から如何に本音を引出せるかどうかがポイントになってくる。 それには、単なる営業マンであってはならない。 プラン力を持った 技術者であることが必須条件に。
私が、多くの顧客から期待されていたのは、外でもなくこのプラン力。
顧客が考えていたもの以上のプランが得られたときに、初めて喜んで 自動的にサインをしてくれる。 そのためには、顧客が 「何」 を求めているかを知ることが どうしても必要に‥‥。 どんなに優れた技術者であっても、顧客の求めているモノが見えないと、満足されるプランも 予算も出来ない。
この肝心のことが、この著書では一切触れていない。 それが、最後までこの著書を信頼出来ない最大の弱点。

それと もう1つの大欠点は、この著では無理に 「成果を挙げるための100の鉄則」 をつくったがために、焦点が完全にボケていること。 つまり、「営業レターを どう書けばよいのか」 と言う肝心のポイントが、いくら読んでも理解出来ない。 私が特別に頭が悪いわけでもなさそう。
著者は、「20代の私は、深夜まで残業しただけでなく、土日も出勤していた。 プライベートな時間などは全くなかった。 その私が、営業レターを書き始めたら 途端に成績が上がり、1年後には《定時で帰れるトップ営業マン》に変わっていた」 と言うのだ。
つまり、営業時間を短縮したのだ。 そのためには、①時間帯を変える、②ツールを利用する、③
考え方を変える‥‥という営業マン特有の時間短縮術を身につけている。
これを身につけたから、入社8年目にして契約件数が4倍に跳ね上がった。
私の人格が変わった訳でも、突然開花したわけでもない。 仕事のやり方を変えただけに過ぎないと、筆者は断言。

私が読んで受けた印象では、筆者が4倍もの契約を挙げた理由は、《考えを変える》 の1言に集約されるように思えた。 その指摘は、大変有難いものだった。
まず、筆者は1週間後からとりかかるのではなく、「明日の8時20分からスタート」 することを心がけている。 そして午前中の時間を、有効に使った。
この、午前中を有効に使うと言う発想には100%賛成。 私も現役の時は、朝の6時から仕事を始めた。 しかし、企画とか構想とかという会社の基本的な発想は、朝の方がさっぱりしていて良いプランが生まれる。 だが、肝心の個々の面白いプランは、午後から夜にかけての顧客との雑談のなかで、突然に生れてくることが多かった。
その案を図面化するのは、翌日の午前中の仕事になった。
つまり筆者の話には、プランの話が皆無。 実際住宅営業をやって見ると、このプラン力がモノを言って、多くの時間が拘束される。
私には 筆者の言うことが、次第にウソのように感じられるようになってきたのは、プラン力の話しがまったく出てこないから‥‥。 私の経験主義が間違っているのかも知れない。 だが、プラン力が1つも出てこない住宅営業の話には、眉ツバ物であると言う気がしてならない。




posted by uno2016 at 13:19| Comment(0) | 技術・商品情報 | 更新情報をチェックする

2016年12月16日

ちょっと古すぎると言うか、さすが大下英治伝記だと感動すべきか? 


木下英治著 「挑戦 小池百合子伝」 (河出書房新社 1600円+税)

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私は、大下英治氏の大ファン。 その著作は10点以上は読んでいる。 大下英治と言う個人を信頼したモノとは限らない。 彼は、若きライターを大勢抱えていて、彼等の取材を活かして 多くの著書をモノにしている。
たとえば、①力動山の眞実、②伝説のディラー、③カリスマに学ぶ眼の前の壁を突破する力、④広島やくざ戦 (上) (下)、 ⑤不屈の横綱・千代の富士、⑥永田町の知謀戦、 ⑦自由民主党の深層、⑧田中角栄の大予言、⑨田中角栄巨魁伝、⑩江副浩正とは何者‥‥等々。
ともかく 一流ライターの取材が完璧で、どんな著書でも安心して読める。 それが、木下英治伝記の特徴でもある‥‥。
その木下英治氏が、今年7月31日の選挙で次点の自民・公明党が推した増田寛也前総務大臣の179万票を100万票以上も上回る291万票を獲得した小池女史。 その小池東京都知事を対象にした 「挑戦  小池百合子伝」 を書いたと知って、図書館へ早くから申込んでおいた。 それが先週 「予約されていた本が届きました」 との連絡があり、イソイソと図書館へ急いだ。

ところが、著者の 「あとがき」 を読んでガッカリ。
なんと、この図書は8年前に書かれていたもの。 そして、プロローグの前に、「都知事・小池百合子」 と言う名の都知事選挙戦模様だけが、34頁がつけ加えられただけのもの‥‥。  なんだか、ペテン師に出会ったような嫌な気分に。
この本は、今売出すべきではない。 もっと、都知事としての小池百合子が 如何にに努力したかを取材して、書き改めるべきもの。 でないと 木下英治氏の伝記という名と、出版社の河出書房新社という名門に傷がつく。
しかし、小池百合子女史という今まで聞いたこともない名を、都知事になってからやっと知った私には、その生立ちとかを知りたいと熱望していたので、この本は格好の入門書。
正直なところ、最後まで楽しく読ませて頂いた。
したがって、複雑な思いの中でとまどっているのだが、小池百合子女史の生立ちやテレビ・キャスターから政治家へ転身する、彼女の過去を振返ってみたい。

なにしろ、この著は430頁にも及ぶ力作。 簡単には読み終えない。 読了するには かなりの覚悟が必要になってくる。
小池百合子は1952年 (昭和27年) 7月15日、兵庫・芦屋市の生まれと言うから、今年 64歳の立派なおばあちゃん。 しかし、さすがは芦屋生まれ。 祖父の喜兵衛は シアトルで 仲間とともに 「三昌物産」 という貿易商を興業した経営者。
父の勇次郎は、海軍中尉となり、戦後はペニシリンの販売で財をなし、ガソリンスタンドなどの石油関係で、若くして関西経済同友会の幹事を務めたほど。
いずれにしても、芦屋の百合子の周りには多くの外国人が住んでいて、知らず知らずに百合子の目は海外に向けられていた。 それに、独立心の強い母親・恵美子の影響も受けた。
「結婚は最終目標ではなく、通過点にすぎない。 結婚相手がいつ死ぬか、いつ どんな災難が降りかかってくるかは分らない。 したがって、女性の貴方も手に職をつけ どんな苦境にも耐えられるようにしなければならない」 と、常に言っていた。
父親もよく言っていた言葉がある。
「人と同じことをやるのは、恥だ。 それで成功しても、当り前。 皆が気がつかないことをやるから、意味がある」 と。

百合子は昭和40年に、関西財界のお嬢さんが入る甲南女子中学に入学。 それまでのこづかいは基本で500円。 それが、一気に20倍の1万円に。 母親が言った。
「1万円にする代わり、着るもの、文房具、授業料、遊びに行く時の小使いまで、全部 自分の責任で賄いなさい」 と‥‥。
母親は、「自分が好きで苦にならないこと、時間があっという間に過ぎる道を、生涯の仕事として自分で選びなさい」 とも言う。
百合子はいろいろ考えた。 その結果、「この条件にピッタリと合うものは、英語しかない」 と気がついた。「タイム」 や 「ニューズウィーク」 「セブンティーン」 を読んでいる時、どんなに難しかろうと苦痛には感じなかった。 時間もあっという間に過ぎる。 それどころか英語の先生が知らない単語を見付けることが、ひそかな楽しみになっていた。
「私は英語で身を立てよう。 同時通訳か、外交官になろう」 と考えた。

その時、テレビでアポロ11号が月面着陸する寸前を写していた。 同時通訳者が 難しい専門用語を駆使して、アポロと NASA の専門用語によるヤリトリを伝えていた。 それを見て 百合子は思わず叫んだ。
「専門用語すら覚えられないのに、同時通訳なんておこがましい。 今までの希望は どこまでも自己満足にすぎない。 英語+αが不可欠」 だと悟った。
その+αに何が良いかを考えた。
もちろん、フランス語とかギリシャ語も考えた。 ところが、ある日の新聞に小さく 「国連の公用語に、アラビア語が加わる」 と出ていた.
父が、「日本の石油のほとんどがアラブ諸国から輸入しているのに、日本はあまりにもアラブ諸国のことを知らなさすぎる」 と嘆いていたことを思い出した。
「そうだ。 エジプトへ留学して、アラビア語をマスターする!」

父に相談したら、「ああいう国は直接行って 交渉しなけれはダメだ」 と言われ、カイロに飛んで文学部長に合い、入学させてほしいと交渉した。
「ところで、貴女はアラビア語が出来るのか」 と聞かれ、「これから勉強します」 と答えた。
「ここでの授業は、すべてアラビア語です」 と、簡単に門前払い。
そこで、カイロのアメリカの大学へ入学し、やがてカイロ大学に進み、唯一 1年間ばかり日本人学生と同居生活をしている。
カイロ大卒業生としては2人目という 栄えある24歳の卒業生になった。

そして、1977年1月に日本へもどり、東京で通訳業をやりながら、1979年の4月から、当時のテレビ番組としては有名な政治評論家・竹村健一氏の 「世相講談」 のアシスタントに抜擢されている。 私もファンの1人であった竹村健一氏は、幅広い見識を持ち、歯に衣を着せぬ鋭いトークと、トレードマークのパイプと独自の風貌、愛嬌とユーモアを感じさせる関西弁で、忘れられないインパクトを視聴者に与えていた。
この「世相講談」は、日本テレビの月曜日から金曜日までの 毎日午前10時05分から10時20分まで開かれていた人気番組で、視聴率はウナギ登り。
もちろん竹村健一氏の魅力もさることながら、決して竹村健一氏に妥協しない小池百合子の存在が次第に評価されていった。
「トルコ風呂」を「ソープランド」と言わせる運動などを通じて、小池の評判が高まり、平日朝の経済番組にも起用され、1988年の4月から小池百合子をメインとする午後11時半から午前0時15分までの45分間にもおよぶ、日経の 「ワールド・ビジネスサテライト」 が発足した。

その後湾岸戦争が起り、バブルも弾けて松下政経塾の細川氏が主宰する 「日本新党」 へ参加して、自民党の中でもがき続けた小池百合子女史が、東京都知事に当選したのが今年の7月。
政治家として小池百合子女史は、想像以上の辛苦を舐めている。
その詳細を知りたい方は、この本を一読されることをお勧めしたい。
ともかく、政治家になることだけは、皆さん諦めましょうよ。


posted by uno2016 at 17:16| Comment(0) | 技術・商品情報 | 更新情報をチェックする

2016年12月07日

訂正  


12月5日付のこの欄の 「本当に健康で、100年間性能が劣化しない住宅は可能か (下)」 で 「ドイツでは数年前から、コンクリート構造の外断熱として 10センチ厚の石綿系不燃ボードを採用しているらしい‥‥」 との記事が掲載されているが、石綿系は世界中で採用されてはいない。
各社によって 「ミネラルウール」 とか 「ストーンウール」 と 呼ばれているが、いずれもロックウール。 したがって、「訂正いただきたい」 とのクレームを頂きました。
私も、ロックウールの間違いではないかと考えましたが、私か見た資料には 石綿系不燃ボードとあったので、間違えて採用してしまいました。 全面的にお詫びして訂正させて頂きます。
なお、日本ではYKKの手によって、4階建のアパートの外断熱として12.5センチ厚の 「イージーラメラロックウール」 を採用済みだとのこと。 そうしたホットニュースをさて置いて 取材不足のために各位にご迷惑をおかけいたしました。 謹んでお詫び申し上げます。

posted by uno2016 at 18:47| Comment(0) | 技術・商品情報 | 更新情報をチェックする
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