2016年01月30日

サザエさんとマスオさんが、家を買おうと思ったのだが‥‥


峰尾茂克著「フグ田マスオさん 家を買う」(河出書房新社 1400円+税)

マスオ.JPG

マンガの世界は気楽。
主人公の波平ほ、いつまでたっても54才のままで、山川商事の課長をやっているし、女房のフネはいつまでたっても52才のまま。 2人ともとっくに後期高齢者になって、波平などは過飲酒が原因で、とっくに死んでいてもおかしくないのに、いまだに現役の課長として駅前の提灯がブラ下がった酒場でオダをあげている。
これは、何も波平だけに限ったことではない。 マスオは28才のままで、タラオという3才の子どもがありながら、24才の長女・サザエの家に居候生活をしたまま。
11才のカツオも9才のワカメも、いつまでも小学生のままで、毎日遊んでばかり。

この7人が住んでいるのが、世田谷の桜町。
今どき、都心では珍しい木造平屋住まい。 5LDKで、延べ30坪とか。
そして土地が93坪もあって、土地価格だけで2億円を超す資産家だという。
したがって、何故アパート併用住宅や2世帯住宅を建てないのだとか、あるいは相続税対策を講じないとか、マンガそのものよりも93坪の土地を羨む意見が横行しているらしい。
この著も、それと同類と考えてもよいのかもしれない。
マンガの世界よりも12年が経過した時点で、やっとサザエさんとマスオさんが、高校1年生になった15才のタラちゃんのために、この世田谷の家を出て、通学に便の良いマンションを探し始めたところからこの物語は始まっている。
最初は、賃貸マンションがよいか、分譲マンションが良いかでサザエさんは悩んだ。 タラちゃんの教育費を考えると、マスオさんの給料とサザエのパート収入から 支払える家賃は、12万円が限界だと分かった。
ただし、日本人の平均寿命が伸びて、女性の約半分が90才まで生きていることが明確になってきた。 とすればサザエさんが90才までに支払わねばならない家賃は、2年ごとの更新料を除いたにしても約7800万円。
「だったら低金利時代だから、思い切って買った方がお得のはず」 と考えて、マンションの新築の分譲物件に限定して、家探しが始まった。

ここで、著者の住宅アナリストとしての本質が顔を出す。
まず、各社の魅力溢れれたチラシから、次の8つのポイントを中心にチェックする。
①駅から徒歩何分か。 徒歩1分は80メートルで計算されている。 しかし、坂道が多いとか、信号 待ちが長すぎるとか、途中に良からぬ店が多いなどは、自分で歩いて確かめること。
② (A)所有権マンション (マンション購入者が全員で区分所要する) (B)普通借地権マンション
 (借地だから2~3割安いが、毎月の地代がかかる) (C)定期借地権マンション(普通借地権との 違いは、契約期間終了時に地主に土地を返却。毎月の地代や解体積立金を支払うのが一般的)
③用途地域として住居系・商業系・工業系と12地域に分類されているが、工業系には要注意。
④引渡予定時期  新築マンションは翌年、タワーマンションは翌々年が一般的。
⑤管理費(月額) 管理費の用途目的(管理人が常駐?)と近い将来上昇の可能性をチェック。
⑥修繕費積立金(月額) 一般的なマンションは10~15年毎に大規模修繕。1戸当り50~100万円。
⑦専有面積  壁芯か内法面積か?
⑧売主  工事認可もそうだが、2県以上にまたがるのが国交省認可、1県以内が知事認可。 国交 省認可は5年以内は最初は「1」。5年ごとに更新するので、古いほど数字が増えてゆく。

タラちゃんの通学範囲にこれはという新築マンションが見当たらなかったので、サザエさんとマスオさんの検討対象は、中古マンションへ移行した。
そのためには、中古マンションの情報を集めねばならない。
新築マンションの場合はチラシがあるが、中古の場合は不動産関係の新聞・雑誌とか、不動産屋の内部情報とかインターネット情報が有力なってくる。
やはり、中古マンションの相場を知ることが大切。 これが、なかなか大変。 やはり、地元の安心出来る不動産業者に頼むのが一番だが、どの業者が信頼できるかは、足で調べるしかない。
そして、買付 (検討) 証明書かないと、相手になってもらえない。 そこで、マスオさんは、購入を検討している証明書を初めて書くことに‥‥。

そして、中古マンションを買うポィントは、「いつまで住むか」 を明確にすることが肝要。 とくに長く住む場合は、そのマンションの資産価値がポイントになってくる。 とくに耐震性に配慮したい。
建築基準法は、過去3回改正されている。 1971年、1981年、2000年がそれ。
1971年の改正は1968年の十勝沖のマグネチュード7.9の地震で改定されたもの。 1981年の改正は1978年の宮城沖地震 (マグネチュード7.4) で、改定された。
それが2000年に再度改定されたのは、1995年の阪神・淡路大震災。 この時は、予想以上の被害が出たので、接合金物などの指針奨励が1995年に出され、2000年の大改正となった。 したがって、私の個人的な感想を言うと、2000年の基準法に基づかない建築物は、あまり信用していない。
マンションの耐震性は、最低2000年基準をクリアーしていることが、長期的に見ると 絶対的なように考える。

ところが、この段階になって、サザエさんが双子の赤ちゃんを妊娠したと医師に言われた。 
5人家族ではマンション生活はムリだということになり、急遽新築戸建てと言うことになった。 そして、どうせ戸建てを建てるのなら、土地を物色して注文住宅を建てる方へと話が進んだ。
そこで、問題になってくるのは合理的な不動産の選び方と新築住宅を建てる際の注意点。
やっと、サザエさんとマスオさんは、私どもが得手とする分野に首を突っ込んでくれたと嬉しくなってきた。
ところが新築住宅ではなく、2人の関心は中古住宅へ移り、ローンと返済計画問題だけに移行してしまった。 もちろん ローン手続きの重要性や、返済計画の重要性は否定しない。 それは非常に重要なこと。
たが、戸建て住宅では省エネ性能と耐震性能が大問題に。 それなのに、中古住宅の改装で注意しなければならないポイントとか、耐震改築に必要な条件とかが 霞んでしまい、何一つ語られていない。
それどころか、折角あちこち動いたのに、サザエさんとマスヲさんは最終結論として何を選んだかが書かれていない。
つまり、「臥竜点睛を欠く」 という結果になっている。

これほど、ガッカリさせられた著書も珍しい。 したがって、恨みも多いということを知ってもらいたい。 
そして、やたらなことでサザエさんとかマスオさん、あるいはタラちゃんの名を使うことは、これから絶対にやめて頂きたい。


posted by uno2016 at 15:14
"サザエさんとマスオさんが、家を買おうと思ったのだが‥‥"へのコメント
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