2016年02月05日

地スギを多用した高橋建築のパッシブハウスの実態!


消費者の方から、「unoのホームページに掲載されている有力地場ビルダーの中で、埼玉県で家を建ててくれそうなビルダーを軒並み訪ねた。 中で一番気に入ったのは 秩父を地盤とするパッシブハウスの高橋建築。 しかし、同社のことは一度もホームページには掲載されていない。 果たして私の識見が間違っているのかどうか、一度訪ねて見て欲しい」 というメールを頂いた。
秩父と言うと、雪が降った後の正丸峠が気がかり。 正丸トンネルをスノータイヤを履いていない私の車が、無事通過できるだろうか? そこで 高橋建設の社長に電話したら、「私が西武秩父駅まで迎いに行きます。 どうか、西武線でいらしてください」 とのこと。
西武秩父からの道はところどころで氷が張っていて、電車で行ったのは正解だった。

ご案内のとおり、パッシブハウス運動の中心になって頑張っている森みわさんとは、7年前からよく知っている。 そして私自身はパッシブハウスの 「隠れファン」 の一人だと自負している。
ただし、森みわさんが設計人だということもあって、会員約100人のうち設計事務所が60%で、ビルダーは40%に過ぎない。 パッシブハウスを本格的に普及させるには、私の経験から言っても地場に根を張った100人以上の意気のよい地場ビルダーが結集していなくてはならない。
だが、森さんが頑張って組織したグループ。 私のような他所者が口を出したら森さんがやり難いだろうと遠慮して、北海道・網走の光輝建設しか私のホームページには掲載していない。
私が組織している仲間は、どちらかというとR-2000住宅ではトップを切って走っていた仲間。 かつては破築の勢いを持っていたが、パッシブハウスのような若さと勢いに欠けるのは事実。
それに、肝心の除加湿問題では、大きな価格問題 という壁にブチ当って、右往左往していることも事実。

そんなわけで、出来るだけパッシブハウスの皆さんを私の方で遠ざけてきた。
高橋さんは 昔は私のホームページをよく読んでいたいたよう。「たが、一条工務店の記事を読んで、一条工務店にはかなわない」 と思って、読むのを中断して新しい仕事を探していたという。 しかし 一条店の現場を見たら仕事が雑なので自信が蘇ってきた。「現場力で一条工務店には勝てる」 という自信が付き、以来一条工務店と相見積もりになっても、怖くはなくなった。
そして、数年前にパッシブハウスの存在を知ったが、秩父では 誰もモデルになろうという人間が見当たらない。 そこで弟に頼んでパッシブハウス第1号になってもらった。
弟は4人の子どもを持つ大家族。 訪れたのは火曜日。 一家で 出かけているいるということで、その無人のモデルを案内していただいた。
まず、ビックリさせられたことがある。
場所が秩父と言うことで、朝の外気温度が -10℃まで下がるという厳寒地。 北海道なみということで、東京周辺で私がやってきた 「家づくり」 の基本が違うことに驚かさせられた。

開口部大のT邸.JPG

ともかく、窓が大きいのだ。
写真は南面のみだが、東面にも大きな開口部がある。
そのいずれもがトリプルサッシ。 国産のスギを使った立派なサッシ。
ご案内の人も多いだろうが、数年前にパッシブハウス・ジャパンが音頭をとって、国産のスギをヨーロッパの工場に送り、完成したサッシを日本へ逆輸入していたもの。 一時は、この方式がもてはやされていた。
パッシブハウス・ジャパンの成功例と考えられたが、国産のスギを提供していた製材協組が諸般の事情で提供をストップさせたので、残念ながらこの試みは途中で挫折してしまった。 誠にもって残念だというしかない。
ご案内のように、2013年に認定低炭素住宅用のガラスの基準が、トリプルガラスでは、以下の5品種のみに限定された。
       ガラスの仕様              ガラスのみの日射取得率
トリプルガラス ■うちLow-Eガラスが2枚 □日射取得型    0.54
                          □日射遮蔽型    0.33
トリプルガラス ■うちLow-Eガラスが1枚 □日射取得型    0.59
                          □日射遮蔽型    0.37
トリプルガラス ■Low-Eガラスがないもの             0.72

つまり、ペアーサッシには、Low-Eガラスに依らなくても、熱戦反射ガラスがあった。 とくに熱戦反射ガラス3種を使えば、ガラスのみの日射遮蔽率は、0.16が認められていた。 したがって、日射遮蔽に関しては困ることが少なかった。
ところが、トリプルガラスになったとたんに、熱線反射ガラスが使えなくなり、苦労をさせられた。 本来のU値が優先され、日射遮蔽は本来の軒の出を大きくするか、外付けブラインドを多用するしかなかったのである。
そうした、夏の日射遮蔽のことしか考えていなかった。 そこへ日射取得型のガラスが飛び込んできたから、パニクッテしまった。

高橋建築では、当初Low-Eガラスのない0.72のガラスを採用していたよう。 それが最近ではLow-E1枚だけの0.59の日射取得型に変更したらしい。
正直なところ、私にはモデルハウスの冬の直射日射が暑すぎて、途中から陽の当らない場所へ移動させてもらった。 それほど日射取得型は、今までのガラスとは異なる。
「たしかに、日射過多の場合もあります‥‥」 と、高橋さんも認めていたが、ガラスの違いの差の大きさは、予想以上であった。
ということは、日射遮蔽型住宅のみに力を入れてきた私には、日射取得型住宅に対しては何一つ発言の権利がないということ。 24時間連運転で、空調換気・除加湿を大前提に考えていた私の常識は、この日射取得型住宅では一切通用しない。
この家では、冬期の朝の外気温が-10℃にもなるのに、室温は前日に曇った場合で16℃、前日が晴れた日には17℃以下にはならないという。陽の出た日の室温は、平均して26~27℃だという。
そして、4人の子供が居るせいで夜間の内部発熱も多いのだろう。 夜の9時過ぎになっても室温は23℃からなかなか下がらない。 したがって、この家では原則として 《無暖房》 で生活をしているらしい。 
ともかく、高橋社長は、実測のデーターを基に話を進めるので、私は口を挟む暇は皆目なし。 それにしても、《無暖房住宅》 というものを現実に見せられると、言葉がない。 
入居者の母や子どもの意見を聞きたくなったほど。

地杉のT邸.JPG

そして、この家は金物工法ではなく、在来の木軸。
私は公言しているように、北米のツーバイフォー工法の合理性に感動した方。 10数回現場を訪ねたが、そのたびに発見があった。 そして、神戸の激震地と中越地震の震度7強と思われた川口町の4~5寸柱の倒壊現場を見て、「もう木軸の時代は終わった」 と感じた人間。
しかし、金物工法が開発されて、通し柱が折れない住宅の出現を見て大感動した男。
しかし、各地に建てられている金物工法を見て、やたらと金物が使われていることと、使っている集成材の梁が多すぎて、木材の材積がやたらに喰っていて価格が高すぎる。 この高価格にオンブして、大手住宅メーカーはすべて金物工法へ鞍替えした。
つまり、耐震性は飛躍的に高まったが、価格も飛躍的に高くなった。
なぜ、日本の木軸の人は、昔からの軸組にこだわり、北米の合理的で安価なツーバイフォーの勉強をしないのだろうか?  木軸の中にツーバイフォーの合理性を取入れたら、簡単に耐震性と防火性が上がるのに、何故取入れようとしないのか?  日本の木造住宅関係者は、消費者のことを本気で考えたことがないのではないか?
これが、長年の私の疑問。
この疑問を高橋建築のモデルハウスを見ても感じた。 もっとも、建築中の現場を見ていないから確言は出来ないが、なんとなくそんな臭いがした。
しかし、このモデルは同じ木軸であっても、建てた人間の思い入れが色濃く反映している。
居間とダイニングキッチンの中心に位置している6.5寸角の4方無節の柱。 これは、前社長が有りカネをはたいて大量に仕入れたものらしく、デンと居座っていて楽しくなってくる。
しかし、床まで柔らかい地スギを使っているので、毛羽立っているのが気になった。「床材には広葉樹の堅木を使わねばならない!」 と教わった逆のことを敢えてやっていたので、それだけの拘りがあるということだろう。

T邸外壁.JPG

なお、この家のQは0.82Wで、C値は0.2c㎡/㎡。
したがって、外壁にはフェーノール・フォームのネオフォームを、充填60ミリ、外断熱に66ミリを使っている。

T邸屋根.JPG

また、屋根裏には、充填60ミリと、外断熱として50ミリ2枚、計100ミリのネオフォームを施工している。 写真はタテになっているので見難いが、ちょっとクギが気になった。

T邸邸換.JPG

そして、モデルハウスは地上に出た半地下室を持っており、収納場所になっているが、その中に輸入のバウル社の90%熱回収が可能な換気装置がおかれていた。
バウル社を選んだのは、熱回収が確実だということと、各室へは100φのダクトを使っていたためめに給気量が確実であったがため。 しかし、最近ではローヤル電機の全熱交に替えたので、臭いに関するクレームは皆無だが、「音がウルサイ」 というクレームがそれなりにあるとか。

いずれにしろあの秩父で、無暖房住宅を目撃出来たことは、非常に役に立った。


posted by uno2016 at 12:36
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