2016年04月15日

ツーバイフォー協会が、日本で最大の住宅業界団体だった!!




住宅ジャーナル誌の編集時代を含めて、建設関連の業界団体で私が常日頃取材で訪れていた業界団体は、せいぜい20数団体。
今回、この記事を書くために 幾つぐらいの団体があるだろうかと興味半分に調べてみたら、何と 140もの団体名が浮上してきた。 私が常日頃取材していた6倍近い団体名が浮かび上がってきたことには、正直言ってびっくり。
この140にも及ぶ団体名を挙げても、ほとんどの人は知らないだろう。 もし、現役の時代にその存在を知っていたら、いろいろ話を聞きに回ったであろう団体が、なんと30近くにも及んだ。
その取材をしておれば、私の記事はもっと説得力を持っていたはずだといまさら悔んでも、所詮は「後の祭り」。

住団連 (住宅生産団体連合会) という9つの有力な団体会員から成立っている 住宅関連の団体がある。(このほかに著名な24社の企業会員と、13社の賛助会員から成っている)
この住団連には、①プレハブ建築協会、 ②日本木造住宅産業協会、③日本ツーバイフォー建築協会、④輸入住宅産業協会のほかに、普段は不動産業に分類されている大手ゼネコンを中心とする⑤新都市ハウジング協会や 分譲住宅を主に提供している ⑥全国住宅産業協会も参加。
このほかに、やたらに会員の多い ⑦全国中小建築業団体連合会や、⑧住宅産業振興財団、⑨リビングアメニティ協会も参加。 
このうちの、①のプレハブ建築協会から ⑥の全国住宅産業協会までの 住宅建設を本業とする団体の中で、実質的に規模が一番大きな団体は、当然のことながら在来木軸を中心とする ②の日本木造住宅産業協会だろう、と考えていた。
たしかに、何人かの役人の面倒を見ているので、国交省住宅局に対する発言力を 一番持っているのはプレ協。 少ない企業で 多くの戸数をこなしているから、「特別な法人だ」 という古い固定概念にとらわれ、別格の存在だと考えていた。

ところが、最近のプレハブの戸数と、ツーバイフォーの伸びを比較してみると 当初は20倍以上にも開いていた差が、昨年度は16%以内に急接見してきている。 つまり、昨年はプレハブが約13.4万戸に対して、ツーバイフォーが約11.5万戸に追い上げている。
数年以内に「ツーバイフォー工法が、プレハブを追い抜く」 可能性が高いのだ。
これを裏付けているのが会員社数。
木住協の正会員は480社を切っており、設計事務所も50社を切っている。 材料メーカーや賛助会員を含めて全会員社は617社。
これに対して、ツーバイフォー協会は正会員社が500社を越えており、設計事務所も 200社に迫ろうと言う勢い。 そして、全会員社は847社と、木住協を37%以上も上回っている。
木住協では1時間耐火構造を手掛けられる会員社は36社しかない。 もちろんツーバイフォーも研修を受けた設計士、工事管理者がいないとアパート建築は出来ないが、今までに延べ3000戸近くのアパートを建設し、大型の高齢者用の養護施設を数多く建設している実績が、ツーバイフォー工法を大きく伸ばしてきたものと考える。

日本ツーバイフォー建築協会のホームページを開くと、右の一番上に 「中・大規模建築物 事例集」 が掲載されている。 この中には、福祉施設、共同住宅、教育施設、医療施設、店舗・その他が紹介されているが、圧巻は福祉施設。
もちろん設計・施工とも三井ホームなど大手が手掛けたものが多いが、吉高綜合コンサルタントが設計して大分・茨城・香川などの地元のビルダーを活用している4例が目立っている。
一昨年、COFIの紹介で関東地域の3つの大型高齢者養護施設を案内してもらった。 どの施設とも1時間耐火を意識して、きちんとした施工を行っていた。
そして、吉高氏の次の発言が耳から離れなかった。
「養護施設でツーバイフォー工法が歓迎されるのは、もちろん木の肌に触れられることと、廊下で転んでも大ケガをしない、という木造礼賛論がある‥‥。 だが、養護施設を計画し、運営する業者から指定されるようになってきたのは、鉄筋コンクリート造に比べて、ツーバイフォー工法の方が20%も工事費が安いからだという事実を忘れてはならない!!」
つまり、鉄筋コンクリートの世界では、技能労働者が激減しており、とくに配筋工が払底している。 このために 坪単価が120万円以上はする。 これに対して、ツーバイフォーだと 坪100万円以内で全てが上がる。 つまりRC造の価格上昇が、ツーバイフォー工法にチャンスを与えてくれている‥‥。

こうした背景があったから、在来木軸という住宅以外の分野でツーバイフォー工法は、知らない間に急成長していて、今や日本一の業界団体になっていた。
つまり、木住協の617社からトップの座を奪い、ツーバイフォー協の847社へ急伸出来た。
ちなみに、それ以外の住宅団体の会員社の様子は次のようになる。
◎プレハブ建築協会 正会員 (300戸以上か3万㎡or5億円以上) 35社 準会員 (正会員以下)
 49社  賛助会員 104社   計188社
◎新住協 (新木造住宅研究協議会)  639社 (北海道163社、本州476社)
 断熱仕様ではかなり意見の一致点は見られるが、構造的に疑問な諸点に全然メスが入れられ
 ていない点が気がかり。 いわゆる Q-1 (きゅう・わん) 住宅を唱えているが、関東地区での
 展示ではお目にかかれなかった。 Q-1をまともに取上げている会員社は限られていそう。
◎家ならツーバイフォーネット  カナダのCOFIが主催するもので、800社を越えるメンバーを登
 録。 ただし、肝心の地場の有力ビルダーを登録していない点に、不満が残る。
◎パッシブハウス・ジャパン  設計事務所 57社、地場工務店 39社を中心に、賛助会員や特
 別会員を加えて124社が参加。 人によっては「新住協より頼り甲斐がある頼もしい団体だ」 と
 の評も。
◎アース21  北海道の地場ビルダーのなかでも 有力なビルダー29社が救合して作った珍しい
 組織。 準会員などを加えて66社で結成。
◎北海道無暖冷房住宅研究会  正会員31社プラス賛助会員社など11社で傘下は42社。
◎十勝ツーバイフォー協会  正会員19社プラス賛助会員社などで、傘下は41社。

上記以外にコンタクトしなければならない団体があるかも知れない。
しかし、このなかで組織としてツーバイフォー建築協会が最大の協会になっていたのは、私としては新発見であり、驚きでもあった。
というのは、「ツーバイフォー協会は三井ホームの方ばかりを見ていて、地方の地場ビルダーのことは何一つ考えていてくれない!」 という多くの声を聞いていたから。
だからといって、特段に新しい手法が地場ビルダーから提案されていたわけではない。 ただ、地方ではツーバイフォー需要はどこまでも住宅に限られており、相談を受けるのは主に3階建の場合で、1階を駐車場として使う場合はどうしたら効率的になるか?」 というものが圧倒的。
私も、そうした需要しか考えていなかった。
そこへ、登場してきたのが鉄筋コンクリート造に変わる低層の養護施設。
これには1時間耐火が求められる。
そして、4~6階建の中層建築となると、どうしても2時間耐火が求められる。
つまり、ツーバイフォー工法で、住宅需要だけに拘っていたのでは、拡がりが得られない。
これからは、積極的にRC造 (鉄筋コンクリート造) の分野を開拓して行くべきではないか? と言うのか新提案。

この提案は、ビルダー側よりも設計士側の方が本気度が高い。
先に紹介した 「これからの建築士」 の中で、チーム・ティンバライズの11人の設計士が、異口同音に言っていることは、「RC造や鉄骨造は巷にあふれている。 いまさらRC造で建て物を建てても、誰一人として振り向いてはくれない。 木を使うと言うモダニズム建築には、全員が関心が高い。 当然2時間耐火はクリアーしなければならない。 いまRC造の職人が極端に不足していて、
RC造は高くなってきている。 1時間耐火だと、木造の方がはるかに割安だと聞いている。 2時間耐火でも、木造は決して割高にはならない。 今まで都市の内部に木造があるのは当り前だった。
幸い、林野庁をはじめとして、国交省も積極的に木造建築を普及させて行こうとしている。 このチャンスに、私ども設計者がボヤボヤしていることは許されない。 チーム・ティンバライズにオンブするのではなく、1人々々の設計者が消費者と真正面に向き合い、木質中高層需要を開発してゆく義務があるのだと思う」 と。
こんな、頼もしい発言が、若い設計者から聞かされるなどとは考えてもいなかった。
世の中、変わったのですね!

設計士が、ここまで発言してくれている。
しかし地場ビルダーとして、おいそれとこの発言に乗ることは出来ない。
何故かと言うと、企業の大転換が私共の前に横たわっているから‥‥。
それは、「今までの地場ビルダーから 地場ゼネコンに体質を改善しなければならない」 という厄介な仕事。 
これは、口で言うほど簡単ではない。
まず、そのように決断した設計士を探し出せねばならない。 そして、自分が消費者を説得出来るように変わらねばならない。
そして、今まで見向きもしなかったRC造について、ひとかどの知識を吸収して、業界の実情と実務に明るくならねばならない。 そのためには、今まで知らなかったことを教えてくれる師匠を探さねばならない。
そして試験的に受注して、実務のすべてを空んじねばならない。
たしかに、今までの 「住宅」 だけに拘っていると、需要は毎年減少してゆく。
「地場ビルダーから地場ゼネコンへの転化」 というのは、それほど簡単なことではない。
しかし、これからの需要が、すべてRC造との競合になってくるということが納得出来れば、それほど困難な仕事ではないかもしれない。

いずれにしても、ここは大転換が求められているということを真剣に考えて、対処されることを期待したい。


posted by uno2016 at 18:20
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