2016年04月30日

失敗談と住性能値が出てこない、信用出来かねる健康住宅談義 !?



飯田祥久著 「医師・弁護士・大学教授など知的富裕層が選ぶ先進的健康住宅」(幻冬舎 1400円+税)

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筆者は1971年生れだから、45歳と若い。
青学大国際政治経済を出て三井住友銀に就職したが2004年に33歳の時にOMソーラーに入社。 38歳で社長に抜擢されているから、強運の持ち主なのだろう。
OMソーラーというのは浜松に本社を持つ会社で、建築家・奥村昭雄氏が開発した OMソーラーシステムを後生大事に育ててきた会社。 設立は29年前の1987年。 資本金は2.1億円強で、パートを含めた従業員は47人と少ない。
全国に150社の工務店を抱えているようだが、売上は 同じ浜松出身の一条工務店に比べると約1/10と見劣りがする。

同社が設立した時期に、私は東京という温暖地で、初めてR-2000住宅を取上げ、塗炭の苦しみを味わっていたが、12年前に住宅業界に飛び込んだ筆者は、何一つ苦労をしていないらしく、取上げている内容はいまさらながらのもので、我慢ができなくなる。
自宅の浴室でショック死する人は、30年前も交通事故死よりは多かった。 それを今どき滔々と並べ立てていることや、熱中症は古い住宅の室内での発症が多いことは、30年来の常識。
また、高気密・高断熱住宅は、RC住宅に代表されるように、アルミサッシの入っている 窓まわりで結露が生じている。 これが原因となって、RC造の浴室などにはカビが生え、これがアトピー症などを併発していることも常識。
結露は、何もRC造に限ったことではない。 北海道では30年以上も前に建てた木造住宅の外壁や床断熱に結露が生じ、ナミダ茸が生えるという事故が発生。
早速、アメリカの資料を調べたら、戦時中から外壁に断熱材が使われ始めたとたんに、外壁に結露が生じた。 この結露を防ぐには、石膏ボードの下に 一面にべバーバリアを張り、室内から外壁に湿気が漏れないように指導。

しかし、このべバーバリアを入れても、工事業者の不注意などで室内の湿気が外壁の中に漏れる被害が続出した。
そこで、北海道が考え出したのは、外壁の構造用合板の裏側に、タテ胴縁を通して 室内に漏れた湿気を室外へ吐出すという手法。
この手法は、単に北海道に留まらず、内地でも広く採用され、外壁に充填断熱材を採用する場合の不可欠の条件となっている。
OMソーラーの場合は、室内側の通気層とか、床下の基礎面の蓄熱にこだわっていて、この一般化している外壁通気層の存在そのものをご存知ないらしい。
ここに、私はクローズド工法の限界を感じてならない。

この本を読んでいると、納得するよりはあまりにも素人っぽいOMソーラーの、自慢話ばかりが目につく。
1ヶ月前の3月30日のこの欄で、深谷賢二氏の 「家族の健康を守る家」 を取上げた。 脳神経外科の筆者は、自宅の建築に際して、住宅関係の本を10冊近く読み漁り、Q値 (熱損失係数) とC値 (相当隙間面積) こそが住宅の性能を評価する上で、最重要だと知った。
そして、地元の大手住宅メーカーの営業担当者に、「貴社のQ値とC値はどれくらいか」 と聞いて見た。
ところが、大手の住宅担当営業マンは目を白黒させるだけで、答えられなかった。
そして、土地を斡旋してくれた小谷産業という ちっぽけな地元不動産屋兼工務店の営業マンは、「Q値は一応2.0Wを目指しています。 C値は一応1.0c㎡ということになっていますが、この前に測定した現場では0.5c㎡程度でした」 と答えたので、そのまま地元の小谷産業に発注している。
一条工務店は、「表示しているQ値は0.7W、C値は0.6c㎡以下と表現している」 が、実質的なC値は0.7c㎡程度らしい。
OMソーラーが、健康住宅と豪語する以上は、「最低でもQ値は1.0W、C値は0.5c㎡以下であって欲しい」

ところが、この著ではどこを捜してもQ値とC値の書込みがない。 (もし、私が見落していたとしたら、心からお詫びをするしかないのだが‥‥)
また、換気に関してもかなり記述しているが、肝心の換気が全熱交なのか、顕熱交なのかについての記述と、換気回数についての記述も探し出すことが出来なかった。
夏期のことを考えると、全熱交の換気の方が優れているように、考えがち。
しかし、全熱交では臭いや病原菌などの移転が避けられない。 このため、ダイキンの全熱交を採用している一条工務店は、浴室やトイレからは熱交換せず、一方的に排気しているだけ。

カナダや北欧では、換気は90%以上の熱交換能力を持った顕熱交しか使わせていない。 これこそが正解だと私は考えるのだが‥‥。
カナダと北欧の技術者から、「排気は、もっぱらダーディゾーンである台所、浴室、トイレ、ペット室やクロゼットから行え」 と教わった。
それが、一条では2階の汚れていない空気を、もっぱら排気スペースに選んでいるように見える。 私の知識が古すぎるのかもしれないが、こと換気に関しては、未だに日本の業者と学界は信用できないでいる。
そして、全熱交を選ぶなら、除湿の効果が高い機種を選ぶべき。

ところが、この肝心な除加湿についても、この著書では触れていない。
如何に夏期は、OMエァフォールで 空気を綺麗に保てると言われても、納得できる範囲を超えている。 私と仲間の経験では、夏期に相対湿度を40%以下に出来れば、室温は32℃でも驚くほど快適に過ごせることを知っている。
ダイキンは、夏でも冬でも相対湿度を40~50%で生活出来るデシカを開発してくれた。
そして、モデルハウスとして何戸かに、タダ同然で取りつけてくれた。
その当時、担当していた部長が、「何とか30万円台でビルダーの手に渡るようにしたい」 という発言を真に受けた私は、しきりにデシカの 「よいしょ」 をした。

しかし発表された価格は本体だけで100万円を超えていた。 これに太いダクト工事と分配器を加えると、300万円近くにもなってしまう。 
坪当りで7万円も高くなったのでは、如何にセントラル空調・換気システムが理想であると分かっていても、おいそれとは手が出せない。
しかも、このデシカの発表に伴って、以前に発売していた加湿器の製造を中止してしまった。困った消費者のために、オリエンタル社が他社製の加湿器を急遽 手当てしてくれているが、
解決済みの筈だった除加湿は、未解決のまま。
したがって、やたらにOMソーラーの悪口を書くのは気がひける‥‥。

ともかく、期待を込めて読み始めたら、最初から最後まで肩透かしを食らったような優れない気分が募るだけ。
OMソーラーというのは、どうやら私にとっては鬼門らしい‥‥。


posted by uno2016 at 17:59
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